関連作品: 八幡「やはり俺の嗜虐心は間違っている」結衣「しがくしん?」2

1 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 02:26:57.92 ID:P2WNBJ1V0

 人生にはまるで、誂えたようなキッカケが訪れる時がある。

 それは、進学を決める時であったり、彼女を作る時であったり、挫折する時であったり……。


 ボッチ界の正統王子であるこの比企谷八幡にもキッカケはある。


 まぁこの場合はキッカケというより、強制スイッチに近かったが。

 一言でいうと、兄妹喧嘩だ。

 小町との些細な喧嘩。立場の弱い兄がたまに起こす反逆。

 ほとんどの場合は小町大明神に勝てるはずもなく屈伏してしまう。



 ——だが、この時ばかりは違ったのだ。


 
 

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1390325217
引用元: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1390325217/
2 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 02:35:22.36 ID:P2WNBJ1V0


八幡「だから俺じゃねーって」

小町「そんな訳ないもん! ゴミィちゃんしか小町のプリンに触れる人……いないもん!」



 喧嘩の原因は、まぁ、そんな感じだ。

 兄妹戦争の代名詞『プリン抗争』である。

 どちらかが買った、もしくは保存しておいたプリンを反対の兄妹が食べるだけの単純なものだが、ほとんどの場合は長期的な冷戦に発展する。


 なぜプリン抗争は長引くのか。


 それは所有権の証明の難しさにある。


小町「ここに置いてたカスタードプリンがなくなってるもん!」


 顔を真っ赤にして、プリンがそこにあったと訴える小町。


八幡「見てねーよ、んなもん。勘違いじゃねぇのか?」


 俺はすかさず小町の発言が証明不可であることを提唱する。


小町「………うぅ…」グルルルル


 常々思う。

 人はなぜこんなにもプリンのことで熱くなれるのか。

 瞳を潤ませ、口を富士山のように萎ませる小町。



 ——間違いはここから始まる。



八幡「………っ」ドキッ

3 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 02:43:39.16 ID:P2WNBJ1V0



 ———可愛い。



小町「へっ?」ドキッ///

八幡「………っ」ハッ

八幡(な、何言ってんだ俺!?)アセアセ



 確かに世界で一番可愛いとはいえ実の妹に対して、あんな突発的に本音を漏らしてしまうなんて。



小町「い、今……何て言ったのゴミィちゃん!」ガシッ///



 プリン抗争を終結させる方法を一つ発見した。

 世の中の不毛な争いを続けている兄弟共、よく聞くが良い。

 それは、相手を可愛いと言うことなんて言える訳ねーだろ馬鹿か。



八幡「い、いや、よく覚えてねーなぁ……」



 あれ。

 俺、何でこんなにキョドってんの。

 まるで好きな人に間違えて好きってことを伝えた時みたいだ。その時はゴミ虫を見る目で通報されたけど。



小町「あ、あのねっ、小町的には今の発言ポイント高いから……その…」



 伏し目がちにチラチラとこちらの様子を覗う小町。あれ、こんな可愛い生き物新種じゃね。



小町「もう一回言って! お兄ちゃん!!」



 その目はキラキラと輝いていて、頬は紅潮し、口元は緩んでいた。

 俺はその眩しい宝石のような笑顔から目をそむけることができず、口の端が上昇しようとするのを抑えながら、極力声に感情を乗せず答える。



八幡「お、おぅ……かわぃ…な」

小町「………」
4 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 02:51:11.13 ID:P2WNBJ1V0


 分かっている。ああ、分かっているさ。

 人は感情によってトーンや口調が変わる。

 飲み会でイケメンが隣にいる時と俺がいる時では、声優の声と母親の声くらい違うだろう。


 今のは明らかに照れた声だ。しかも、兄妹としてではなく……いや、例え自分の心の中でもこれだけは言えない。


 とにかく、そんな声を兄弟姉妹から言われた日には、男側ならまだしも女側からしたら一生口を聞きたくなくなるほどの衝撃だろう。

 特にこの比企谷八幡から異性として見られてると知れば、いくら天使で無垢な小町でもきっと……。



八幡「………!?」チラッ



 以前、シェルブリッドの平塚先生に衝撃のファーストブリッドをくらったことがある。その時は内臓と言う内臓が一気に引っ越しを開始したくらいの痛みと衝撃だった。


 だが、この瞬間の俺はまるで抹殺のラストブリッドを受けたような、世界の破滅と再生を味わったような、そんなヤックデカルチャーが待っていたのである。


 
5 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 02:59:27.19 ID:P2WNBJ1V0



小町「……はぅ//// ぽいんとたかすぎだよぉ///」ウルウル



 両手で目を隠し、指と指の隙間から潤んだ瞳をこちらへ向ける。

 いつもの大地をしっかりと踏みしめた足は、ふにゃりと内股になって微かに震えている。

 元気と愛嬌に溢れたハキハキした口調も、ゆるふわ系も顔負けのふにゃふにゃした口調になっている。どこのくおーえるですか?

 とにかく、目の前にいる妹日本代表がいつの間にか恋人にしたい女の子代表に昇格していたのである。



八幡「こ、小町……?」



 RPGをしている時、敵と遭遇してたまに不意打ちのため逃げられない戦いがあった。

 俺はそれに対してリアリティを感じなかった。逃げられないほどの不意打ちってことはそれもう殺されてるでしょ。と、思うからだ。


 しかし、この時の八幡は完全に、



 不意打ちのため微動だにできない!



 状態だった。



6 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 03:05:46.07 ID:P2WNBJ1V0


小町「あ、あぅ……ちょ、ちょっとダメ、こっちみるなぁ///」


 両手で俺の目線を遮りながら、後ずさりをする小町。

 これはどんなご褒美ですか神様。

 漫画の中でしか存在しないと思っていた天使が、ここにいる。


八幡「お、おい、落ち着け小町……」


 この時。


 もし、もしも俺が小町に対して何のアプローチをとらなければ、他の兄妹より少しだけ仲の良い——そんな最高の関係を築けたかもしれない。


 だが、違う世界線で青春ラブコメを間違えまくっているこの死んだ魚のような眼をした男は、


 比企谷八幡は、




 やはり、選択肢を間違えるのである。




八幡「……もっと、可愛い顔を見せてくれ…」




 小町はさらに蕩けた顔でこちらを茫然と眺めていた。

7 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 03:07:52.61 ID:P2WNBJ1V0


し−ぎゃく【嗜虐】


人や動物に対して苦痛を与えることを好むこと。むごたらしい行為を好む性癖。


goo辞書より。
8 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 03:21:15.31 ID:P2WNBJ1V0



小町「な、何を言ってるのかなぁゴミィちゃん」アハハ



 少し冷静になったのか、小町は笑って誤魔化そうとしている。

 だが、すでに俺と言う平野に咲いた一輪の性癖は、今まで溜めこんできたストレスと鬱憤を糧にどんどんと成長をしていた。



八幡「なぁ、小町……」



 俺は、癖になっている(なんてことはない)音を殺して歩く特技(実際には思い切り音は鳴っている)で、一気に小町との距離をつめる。

 小町は俺の動きに驚いてはいないが呆気にとられた感じで茫然としていた。……いや、どこか“この先を期待している”?



小町「あ、あはは/// ……きょ、今日のお兄ちゃんならきっと友達百人できると思うよぉ///」



 人は知らない間に経験値を貯めている。

 俺がぼっちで磨き続けた他人を眺めるスキルは見事上級スキルに昇華していた。

 小町の視線の動き、身体の動き、口元の歪み、震え、表情筋、ありとあらゆる部分から感情を解析することができるようになっていたのだ。



 後は勇気だけだ。



八幡「俺は、友達百人より——」



 小町の顎に手を当て、クイと持ち上げる。彼女の恥辱的に感じているような、それでいて嬉しすぎて泣き出しそうな顔がはっきりと見て取れた。

 知りたい。小町の全てを。

 分かりたい。小町の心を。


 そんな建前も、押し寄せる本音にあっという間に潰されてしまった。



八幡(ああ、俺は……)




 小町の心を犯したいんだ。




八幡「お前の可愛い顔をもっと知りたいよ、小町」

9 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 03:22:13.44 ID:P2WNBJ1V0
今日はここまで!

この後、小町ルートを突き進むか、学校に行くか迷ってるので決まったら投下します!

おやすみなさい!
16 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 09:16:44.08 ID:SmX3zJfF0
最初は隼人君だと思ってましたが、動機づけも兼ねて小町から行きます!
でも、皆が涎たらして期待してるエログロはないかと(エロは多少……ふんだんにある?)
18 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 09:32:22.97 ID:SmX3zJfF0


 この気持ちを言葉にするなら何だろう。


 興奮?

 いや、確かに興奮はしている。……が、ただ単純に性欲のみから来ている訳ではないことは、八幡の大神宮がお祭りを始めていないことから分かる。

 
 高揚?

 いやいや、そんな修行のような、己を高めるような行為ではない。もっと下劣で低俗な自分の中に巣食う暗い感情に餌をやるような……。



八幡(ああ、これだ。〝破壊衝動”)



 俺は、それを満たそうというのだ。

 小町の戸惑いつつも幸せに満ちたこの表情を。

 もう今後二度と俺に向けて、そんな照れた顔を見せてくれる女性は現れないのが分かっているのに。


 〝どうしても壊したくなる”


 今ここで押し倒しても、それは満たされない。

 たとえ、性器をぐちゃぐちゃに犯したところでお互い何かしらの得るものを得て終わってしまう。



 違う。そうじゃない。



 たった今、比企谷八幡を支配している願望はもっと貪欲で純粋だ。

 もしも、もしも嫌がる小町を押し倒して胸を揉んだとして、太ももを撫でたとして、秘部の吸い込まれるような感触(想像)を体験したとして、


 小町と俺に兄妹以上の、重い関係ができてしまうことは絶対にあってはならないのだ。


八幡「小町、髪の毛撫でて良いか?」


 時に身体は心を凌駕する(フル勃起)。
19 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 09:50:15.68 ID:SmX3zJfF0



小町「えっ、あ、うん……///」



 何だろう。違和感。何だろう。虚無感。

 ああ、そうだ。

 今の小町の反応は、まるで恋愛ゲームの超ハイスペックリア充主人公を前にした雌豚のようなんだ。

 基本的に自分には優しくしてくれる。甘やかしてくれる。王子様のように優しく包み込んでくれると信じて疑わない恋する少女のそれなんだ。


 全く、甘ったるいのはMAXコーヒーだけにして欲しいぜ。俺は砂糖抜きどころか抽出されてしまったスーパーエリートブラックコーヒーだぜ? そんなのは期待するだけ無駄だ。



八幡「お前の、髪、すごく綺麗だな」



 あれ。

 俺の中にまだこんなにも甘味が残ってたのか。


 右手は小町の左ほほを爪の甲で撫でるように、ゆっくりと側頭部へ移動していく。


 小町は両目を閉じて、俺の動きに合わせて口をだらしなく開いたり閉じたりしている。その顔はまさに恍惚と言った感じだ。下賤ながらあそこはもう濡れてるんだろうなぁとか想像してしまう。

 やはり俺の息子は変わらずフル勃起だ。



 だが、身体が喜びの唄を謳えば謳うほど、心はどんどん萎んでいく。



 それは、運動でシミュレーションに対してパフォーマンスが追いつかなかった時のような、夏休みの宿題で一日のノルマに到達しなかったのにゲームをしてしまった時のような、己に対する強い罪悪感と虚無感に似ていた。



八幡「小町……」



 時に罪悪感は人を間違いへといざなう。

 俺の心臓は張り裂けそうな勢いで脈を打っていたが、それでもその先に進みたいという開拓精神は勇敢にも兄妹の一線を軽く越えてしまうのである。



八幡「……抱きしめても、良いか?」



 ガールフレンド(間違い)がテストオープンしたようです。
20 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 10:25:08.73 ID:SmX3zJfF0


 ここで、人間が動物よりも優れている点をあげよう。

 それはシミュレーションの多様性と速度である。



 特に自身に苦い思い出がある場合、この場合で言えば告白して翌日には全校生徒に知れ渡っていたという八幡エピソードを持つ俺の脳は小町の反応をすごい勢いでシミュレートするのである。


小町『はぁ? ごみぃちゃんキモイんだけど』

小町『いやっ、こないでっ』

小町『サイテー!』

小町『……ごめんね』


 最後が最もきつい。というか死ねる。

 小町の優しさと本当に無理なんだという結果が俺を殺してくれるだろう。

 おそらく十数の結果はシミュレートしたと思うが、そのどれもがバッドエンドなのは比企谷八幡という人間が慎重で控えめな性格だからだ。決して今までの人生で成功経験がないから、ではないぞ良い子の諸君。



小町「うれしい」



 ほらな。

 恨めしい。なんて聞きなれた言葉だ。

 結局のところ俺なんて人間は誰からも好かれないし、求められないし、笑えないのである。

 今後どんな出来事があろうとも、俺は俺の恋愛能力を信じないし、一生一人で生きて———え?



八幡「え、今……え?」

小町「もうっ、二回言わせるのは反則でポイント没収だよゴミぃちゃん!」カァ///



 全身で可愛いを表現している小町は、とうとう表現力においても可愛いの壁をぶち抜いたようだ。

 はぁはぁ。

 ダメだ。ダメダメ。たとえ自分が童貞だからって処女の女の子の初エッチを無茶苦茶にしていい権利はあるか?

 落ち着け、俺。

 ちゃんとリードするんだ。

 男だろ。

 うわ、なんだこれ、思考がまったく定まらない。

 どくんどくんどくん。

 何の脈動だよ。まだ出てねーよ。



 
21 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 10:38:57.21 ID:SmX3zJfF0


八幡「こ、小町……好きだ」ハァハァ

小町「………」コクリ///



 いいのか。

 いいんだな。

 触るぞ。撫でるぞ。楽しむぞこの野郎。いや、この天使様。



 ゆっくりと、その柔らかさを確認する。

 まずは腕。


小町「にゃはは、くすぐったいよお兄ちゃん」エヘヘ///


 二の腕とおっぱいの感触は同じだという俗説があるが、もしそれが本当なら、たった今俺は小町のおっぱいの硬さを知ったこととなる。


八幡「お前のおっぱいって思ったより硬いんだな」

小町「へっ……」


 しまった。

 あまりにもの感動に、つい、つい言ってしまった。


八幡「あ、いやっ、ちが——」

小町「……確認、してみる?」

八幡「ふぇっ!?」カァ///

小町「……いいよ。お兄ちゃんになら…」モジモジ///


 こうして、家族の団欒を演出するリビングで、俺は節操もなく小町の胸に両手を当てたのである。


八幡「おまっ、着けて!?」

小町「ふぅっ、んっ///」ビクッ


 いきなり訪れた小さくて硬い粒のような感触。上級者はこれの為に生きるというが、なるほど、女性が最後の最後まで隠しているその部分を見ることなく確かめる行為は確かに興奮を更なる高みへ押し上げてくれるな。


22 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 10:39:27.38 ID:SmX3zJfF0


小町「いやぁ……/// だって……その…」モジモジ///


 はっきりと言わない。

 それが男の妄想力を何倍にも引き上げる。

 なぜブラジャーを着用していないか。

 暑いから。

 痛いから。

 洗っててないから。

 変態だから。

 おい、八幡。お前この期に及んでマイナス思考全開ですか。


八幡「お、俺のために?」


 俺の為にブラジャーを着用しないというのも変な話だ。何で俺がノーブラ趣味だって知ってるんだこいつ。

小町「……ねぇ、お兄ちゃん…」ハァハァ///


 人生というものにはキッカケがある。

 先ほど強制スイッチを押され、こんな展開になった俺には更なるスイッチが待っていたのである。


小町「にゃんで……抱きしめて…くれないのかなぁ……」モジモジ


 ポチッ。

 ここで、比企谷八幡というアイデンティティは一つの完成を迎えた。


八幡「抱きしめて欲しいのか?」ニヤニヤ


 その形は、やはり歪んでいるのである。
23 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 10:41:07.39 ID:SmX3zJfF0
いったんここまで!

ちょっと地の文がしつこいかな。

もしかしたらすぐ再開するかもしれませんが、離れます!では!
24 : 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/22(水) 11:48:29.67 ID:VsZAU3hwo
今電車の中で読んでたけどマスクって最高だな
つけてなかったら気味悪がられてた所だわ
25 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 12:23:40.86 ID:SmX3zJfF0
>>24
こっからが最も気持ち良い(悪い)所です!

時間出来たので続きー
26 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 12:35:59.19 ID:SmX3zJfF0


小町「………」モジモジ///


 葛藤。

 それは、イエスとノーのガチンコ勝負ではない。

 自分と折り合いをつけるための時間。

 どうすれば本心を正当化できるか、どうすれば自分の中の少数派を押さえつけることができるか試行錯誤する時間。


 その会議の時間は人それぞれだが、小町の場合は普段が(考えなしに)テキパキと物事を決めるタイプなので、逆にこういう場合は時間がかかるのだろう。


小町「………」チラッチラッ///


 しかも、その会議において普段発揮されない女の部分——いわゆる女々しい部分が主導権を握るのである。


八幡(あー、俺から誘えってことか……)


 今までの俺なら、やれやれと言った表情で内心ハッピーフェスティバルの癖に「しょうがねぇなぁ」と言った具合に妹を甘やかすのだが……。


八幡「なんだ、したくないのか、それじゃあな」


 と、横の扉からリビングを出たのである。

 「あ」という、消え入りそうな声は俺の中にある支配欲を存分に満たしてくれた。

 小町の中で今、俺という存在があふれかえっていると思うと、自然と笑みがこぼれてくる。


 事態はどんどん悪化しているというに。


 
28 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 14:30:02.37 ID:SmX3zJfF0


 コンコン。


 何度目のノックだろう。

 二回目はコンココン、四回目はココンコンコンコンココンだったから、五回目か。

 定期的に訪れる怪現象も、発生源が小町ならハッピータイムに変わる。

 だけど、まだ反応はしない。

 小町。

 お前が俺の妹だというのなら、その先を、相手の求めているものをはっきりと提示してくれるはずだ。




 ——ン、ショ。



 
八幡(何の声だ?)


 俺が求めているもの、それは手紙やらラインやらの〝物的証拠”。

 たとえ、ここでドアを開けて小町とイチャラブタイムを楽しんだところで、それは一時の快楽的行動。

 プリン抗争のように、冷静になった小町にすっとぼけられたら終わりなのだ。


 それは、自分に自信がないことの現れ。


 小町が俺なんかを好きになってくれる〝はず”がないというマイナス方向の確信。


 しかし、この時ばかりはゴミィちゃんも小町の行動に思わず飛び上がったのである。
29 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 14:31:13.88 ID:SmX3zJfF0




 ———そう、ご想像の通りドアの隙間から押し入れられたのは、〝脱ぎたてのタンクトップ”だ。




 
30 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 14:37:33.65 ID:SmX3zJfF0


 これから、タンクトップ突撃作戦の有用性について数レスに及んで説明を始めるわけだが、って数レスって何言ってんだ俺。

 その前に、疑問を一つ解消しよう。


 〝なぜ脱ぎたてだと分かったか”だ。


 先ほどの服だったから。違う。

 小町がそう言ったから。違う。

 真実はいつも一つ。



八幡(温かい……)スリスリ



 ゴミィちゃんは、どこまでいってもゴミィちゃんなのだ。

 そして、ここからタンクトップ突撃作戦について、ゆっくりと論じていくこととしよう。

 幸い小町は大きなミス———タンクトップを俺が取ったかどうか確認することを怠ったからだ。

 俺なら、シャツの端だけ残しておく。



 鯛を釣るために必要な物はエビでも高級なエサでもなく———釣り針と糸だ。



 だから、小町は今頃きっと悶々としているだろう。

 小町の考えている通り、お兄ちゃんはタンクトップに顔を埋めているというにな!!


 
31 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 14:38:47.79 ID:SmX3zJfF0
続きを行きたいですが、忙しくなったので一旦離れます。

小町編はこんな感じで地の文主体ですが、「」の前の名前と「」の後の効果音的な擬音は入れていくことをご了承下さい。
39 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 17:44:55.84 ID:P2WNBJ1V0

 それでは、お悩みの読者のためにこの駆け引き研究会会長比企谷教授が説明してしんぜよう。こらそこ、教授は駆け引きする場面に遭遇しないとか言わない泣いちゃうから。そもそも読者って誰だ。


 まず、普通の人間、そうだな……葉山グループのテンション高い奴らならこう答えるだろう。


「つーか、パンツっしょ(笑)」


 留年確定。いや、退学だ。お前らみたいなリア充に駆け引きなぞいらん。押しに弱いビッチと付き合ってろ……由比ヶ浜以外のな。

 話はそれたが、パンツはダメでタンクトップが素晴らしい理由を述べる。



 まずは“耐性”だ。



 小町のパンツはそれはそれは優れている。どのくらい優れているかと言うと、視覚聴覚触覚味覚嗅覚……なんと五感全てでよい刺激を与えるではないか。世に言うクンカクンカは小町のパンツを嗅ぐ時に使うものなのだろう。

 だが、認めたくないが、人は……飽きてしまう生き物なのだ。



八幡「小町! 俺はお前のパンツを一生大切に育てられるぞ!!」



 ——ガタガタッ!


 しまった。どうやら小町は俺の微かな動きすら察知しようと壁に張り付いていたらしい。……まぁ、どうせ持ってくるつもりだったんだろうがな。



 つい自分を言い聞かせるために叫んでしまったが、それでもやはりいつか心は満たされなくなってしまうだろう。

 それは人間が愛ゆえに強く求めてしまう生き物だからだ。


 いきなりパンツを渡すことは究極的に言えば、「私を抱いて」の行動表現なのだ。きっと俺は小町を抱いてしまう。


 だが、勢いに任せて小町を抱いて、抱いて、抱いて、抱いたところで何が生まれるのか。いや、何も生まれない。

 ただただ、比企谷家の兄と妹の間に“耐性”ができてしまうだけだ。

 そして、いずれパンツを渡されても俺は「自分で洗ったら?」と言ってしまうだろう。その時のために俺は枕元へ拳銃を仕込んでおくことにしよう。
40 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 17:55:07.01 ID:P2WNBJ1V0


 次に“処女性”だ。


 何も言っていない俺に対してパンツを渡す。

 俺は喜ぶか喜ばないか小町には分からないはずだ。



 なら何故パンツを渡す?



 何故比企谷八幡がパンツを求めていると知っている?

 俺はパンツコレクターなのか。いいや違う。

 俺はパンツ職人なのか。パンツの作り方すら知らない。



 つまり、男にパンツを渡すと言うことは、“男がパンツで喜ぶということを知っている”ということである。



 そうだ。さっきのミスを挽回しておくことにしよう。

 小町の部屋に向かって、叫ぶ。


八幡「男にパンツ見せる女なんてただのビッチだよなーーーー!」



<エッチョッウワッ!!



 どてん、という振動が微かながら響く。

 どうやら、片足を上げた状態で転倒したようだな。何をしていたのやら、にやにや。



 話は戻るが、処女性の低さは致命傷を招くことがある。

 由比ヶ浜なら何も問題はない。男子の前で平気で裸になるような女だ(比企谷イメージ)。

 だが、例えば雪ノ下ならどうだ。

 あの女が人前でパンツになる。しかもまるで嬉しそうな顔で。



 あれ、問題ない……?



 それなら戸塚彩加ならどうだ。



八幡(裏声)「八幡、チンコ見せ合いしようぜ」



 うわぁああああ!! 俺の天使ぃいいいいいい!!


42 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 18:07:57.43 ID:P2WNBJ1V0


 ……さて、すっきりしたところで話を再開する。


 雪ノ下なら悪くはなかったが、小町がダメな理由。


 それは、“妹属性”と“天真爛漫”さにある。


 あくまで一般論だが、妹は兄の前でも平気で下着姿になる場合が多い。

 だがそれは、あくまで家族を異性として見ていないからだ。

 そんな奴にいきなりパンツを渡されて「好きです」なんて言われたらどう思う世の中の兄よ。


「は? 何? 勝手にプリン食べただけだろ?」


 なんて思うだろ。そこに愛情なんて感じない。ただただ裏を疑うだけである。

 さらに、先ほど言った処女性を失うことは兄妹感での恋愛において大きな障害となる。

 なぜなら、男は綺麗なものを汚すことに快感を覚えるからである。これ重要ね。

 使い古された妹などリスクしかない。例え小町が最高の天使でも、100人の男を受け入れた後ではさすがに魅力を感じない。そんな俺を殴ってやりたいが、感じないのだ。


 さらに天真爛漫な小町の性格が俺の妄想に拍車をかける。


 内向的な妹が相手なら、「お、おい、いきなりこんなことしてどうしたんだ!?」と驚くところが、

 外向的な小町が相手なら、「お前、外でもそういうことやってんの。うわ、引くわ」となってしまうのである。



八幡「でも、どんな小町でも俺愛してるからー(音量調整)」


<モモモ、モウイッカイイッテ!!


 え、また扉の方に戻ってる。はえーなあいつ。

 まぁ、以上の点において、“いきなりパンツ”はダメなのである。



 ふわー、小町のランニングまじ甘い匂いする。なにこれやめらんね。



 
43 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 18:19:59.78 ID:P2WNBJ1V0


 では逆に、タンクトップの有効性について述べる。


 まずは“将来性”だ。


 将来性と言ってもタンクトップはパンツにならない。もちろん小町にもならないしお金にも……お金にはなるか。絶対嫌だけど。

 何かと言うと、タンクトップの次があるということだ。

 パンツの後は小町本人。つまりゴールだ。しかし、タンクトップの次はスカートやパンツが待っているんじゃないかという期待感が押し寄せてくるのである。


 先ほどと一見矛盾するように感じるが、小町みたいな計算高い妹がタンクトップで終わる訳がないと思うのは道理だろう。
(処女性に関してはあくまで行動の“結果”であり、この計算高いと言うのは一緒に過ごした“過程”から来るイメージである。つまり計算高い=処女性がないということではないのだ。もちろん、こちらが要求した訳でもないのにスカートやパンツを差し出せば計算高いビッチに認定されるため小町にとってもリスクが高い行動ではあったのだが)


 もしかしたらパンツを用意してくれているのではないか、それがなかったとしても要求すれば脱いでくれるんじゃないかという妄想が止まらなくなってしまう。



八幡「小町ぃいい! 俺は白以外認めないぞぉおおお! もしくは縞模様だぁあ!!!」



 再びどたんという音が響く。

 どんな色だったのかは気になるが、急いで白か縞模様を用意してくれていると思うと、大好きが天に上るようだ。



 俺はいつまでこの話を続ける気なのだろう。もう少し続くけど。



 
44 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 18:27:04.48 ID:P2WNBJ1V0



 最後に、これは狙ったのかどうか分からないが、今にして思えば今回のMVPだとさえ思えてくる効果がある。



 それは“さっき胸を揉んだ服”であるということだ。

 想像して欲しい。

 このタンクトップの裏、ひっくり返して匂いを嗅いでみる。うん、洗剤の良い匂いだ。



 この部位は小町のぽっちが当たっていた場所である。



 小町のぽっち=極上のピンクであることは確定しているのだが、それがここと触れていたのである。

 これには八幡祭りも打ち上げ花火タイムだ。

 ちょっと膨れてるように見えるのは気のせいだろうか。外側から素早くこすってみる。もしかして小町あえいでないかな。



 もしブラジャーを着けていたとしても、上半身の大部分を直接覆っていた布だ。これを抱きしめることは小町を抱きしめることと同意義である。同意義ではないけど。
45 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 18:30:56.85 ID:P2WNBJ1V0



 八幡教授の講座が終わったタイミングで、再びノックの音が響いた。



<コンコンコンコン



 ……あれ、なんだろうこのリズム。

 こんこんこんこん。

 どこかで聞いたことがあるような……。

 こんこんこんこん。



 あ。



 だ・い・す・き。

 全く聞いたことはなかったが、きっとそれだ。

 俺は、ドアノブに手をかける。しかし、それを下ろしたりはしない。



八幡「小町、ドアノブに手を当てて」



 さぁて、八幡祭りは始まったばかりだ!


46 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 18:38:11.23 ID:P2WNBJ1V0


小町「持ったよー」


 扉一枚向こうで小町の声が聞こえる。

 今すぐ大好きだよと言ってやっても良いが、それではただのイチャラブだ。

 今の俺にそんなものは必要ない。



 小町には一生忘れられない最高の時間を与えたい。



 その考えは処女ハンターが処女を狙う動機に近いが、俺の場合はもっと挑戦的だ。



八幡(小町の心を一生支配するような……)



 多くの人間には理解してもらえないかもしれない。

 だが、俺の中に巣食ったドロドロした想いは、小町の透き通った誰も触れたことのない部位を荒々しく侵し尽くしたいと考えていたのである。



八幡「小町、兄ちゃんの事が異性として好きなら開けてくれ」



 舞台が第二段階へと移行した瞬間だった。


47 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 18:41:11.89 ID:P2WNBJ1V0
キリが良いのでいったん離れます!

もう少しだけお互いが触れあえない状況が続きますが、このssは基本的にはイチャラブss(の予定)なので、お預けのまま邪魔が入って終わるなんてことはありません。不安になっている方は安心してください! では!

50 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 19:01:32.57 ID:P2WNBJ1V0
寝ようと思ったら寝れん状況になったので続きいきます!

51 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 19:13:25.05 ID:P2WNBJ1V0



小町「えっ」



 一瞬、動きかけたドアノブがぴたりと止まる。もちろん、俺が動かないように押さえてたこともあるが、小町の中で一気に葛藤が膨れ上がったのもでかい。



八幡「………」



 俺は、黙る。ただひたすらに。

 それは、獲物を狩る肉食動物のように、ジッとチャンスを待ち続けるのである。


小町「や、やだなぁ。いきなりそんなこと言われたら小町困っちゃうよー」


 声の震えからして困るってレベルではないと思うが。

 それにしても、肉食動物というのはいかに楽な立場にあるのか分かるな。


 例えるなら、小町の立っているのはサバンナにある豊富な餌場。もしくはオアシスと言ってもいい。

 そこで草食動物小町は餌を美味しそうにもふもふもふもふ食べている。……うぁ、可愛いすぎ…。

 ここからは葛藤との勝負だ。

 美味しい餌をこのまま食べ続けるか。

 それとも肉食動物を恐れてその場を逃げ出すか。

 だが、現状肉食動物が視えない状態で何の根拠もなく逃げ出すことなんてできない。


 だから、きっかけを求める。


 彼ら草食動物が広範囲を見るために目を横につけ、いつもキョロキョロと周囲を見回す理由は天敵である肉食動物から逃げるためではない。



 ———きっかけが欲しいのだ。



小町「な、なーんも言ってくれないのは小町的にポイント低いなぁあははー」


 ほーら、草食動物小町がひんひんときっかけを欲しがっている。

 だがしかし、肉食動物八幡に隙はないのだった。




八幡「……好きだ。小町」



 ———グイィイイ!!


 ドアノブが一気に引き下ろされそうになる。



八幡(くっ、俺の反射神経なめんなよっ)グググッ


小町「お兄ちゃん!? 何で開けてくれないの!?」ドンドンドン


 罠にかかった草食動物に———逃げる術はない。
52 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 19:21:26.88 ID:P2WNBJ1V0


小町「好き! 私も好きだからお兄ちゃん!」グイグイ


 今、小町はどんな表情をしているんだろう。

 にやけてるのかな。泣いてるのかな。必死なのかな。

 想像するだけで全身が熱くなる。



八幡「それは、異性としてか?」



 ぴたり、とドアノブの動きが止む。

 俺は安心して手を放す。なぜなら次に開くのは“小町が認めた時”なのだから。



小町「ね、ねぇ、そのことについては中で話がしたいなーなんて」



 小町はあくまでも、許しを得てから入りたい。だが、俺は許可を下ろさない。



八幡「小町のタンクトップ」



 少しだけ間を空ける。五秒か十秒程度。

 それだけで、小町は様々な思考を巡らせるだろう。

 俺は小町の妄想の中で“最も求めている”であろう言葉を渡す。



八幡「……俺の中で小町が……お前がいっぱいになった……」



 がちゃり。


 自動ドアでない限り、ドアノブが下りた理由は一つ。



53 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 19:25:53.18 ID:P2WNBJ1V0






 瞳を潤ませた小町が、くしゃくしゃの顔で笑っていた。



「お兄ちゃん、小町は……小町は…





 八幡のことが異性として、好きです」





 カチッ。

 また一つ、比企谷八幡のスイッチが強制的にオンになった。





八幡「え、マジで?」





 無表情で、感情を殺して言えただろうか。

 キョトンとした表情の小町が、今までの人生で一番———可愛かった。




54 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 19:34:37.51 ID:P2WNBJ1V0



小町「え、な、なんで……」ウルウル



 小町の目がまたたく間に涙を溜めこむ。

 その表情だけでご飯三杯はいけるが、俺に必要なのはただ単純なイジメではない。



八幡「俺……小町の言葉……冗談だと思ってた…」ハハ…



 まるで信じられないといった表情を演出する。

 小町の顔にみるみる絶望の色が宿っていく。



小町「……から…か…ったの?」



 小町はプルプルと小刻みに震え、視線を下に落とす。


 ぽたり。


八幡「!!」ゾクッ


 全身に鳥肌が立った。

 俺は今、小町の全てを支配している。

 小町が今、マイナス方向へ思考を走らせていることさえ、俺に用意された道なのだ。


小町「ひどい……よ…」ポロポロ


 もうダメだ。耐えられない。

 いますぐ抱きしめてこの想い伝えたい。

 世界で一番愛してるのはお前だよ、と。そう言ってやりたい。


 だけど、まだ、もう……少し———、




八幡「冗談だと思ったから俺から言おうと思ってたのに!!!」






 
55 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 19:35:04.79 ID:P2WNBJ1V0
 あーあ、言っちゃった。

 まぁ、俺だって性癖より理性が勝つこともあるよね。ていうか理性だけで生きて来た訳だし。



八幡「好きだ小町! 愛してる!!」



 ぎゅっと抱き寄せる。



小町「ふぇあっ!?」カァ///



 すごく、柔らかくて、甘い匂いのする俺のだけの小町が両目を見開いて状況を飲み込めずにいる。


 俺のフルバーニアがおへそ辺りに当たってたけど、そんなのどうでもよかった。


 禁断の果実をもぎ取った瞬間だった。
57 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 19:45:32.09 ID:P2WNBJ1V0



小町「お、お兄ちゃん?」オロオロ



 普段クールが代名詞の俺がこんなにもテンションをあげていることは、小町にとって驚き以外の何物でもなかったようだ。



八幡「あ、ああ、すまん。危うくテンション上げ過ぎてキスするところだった」



 もちろん嘘だ。芯は冷え切っていて思考はクリアだ。



小町「ちゅ、ちゅー!?」カァ///



 わざわざ言い直す所がすごく可愛い。よし、そこをいじろう。



八幡「なんで言い直したの?」

小町「も、もうっ、どっちでもいいでしょっ///」



 小町はギューーーッと俺の背中を掴んだ。脂肪の少ない俺の背中はけっこう痛い。



八幡「ねぇ、なんで?」

小町「………///」モジモジ



 あー、すげぇ良い匂い。おへそに当ててる俺のメガ粒子砲が発射されそうだわ。



小町「……ゴミィちゃんに可愛く思われたかったから…///」モジモジ

八幡「そんなに可愛いのに?」

小町「バカっ///」カプッ



 おいおい、この天使、俺の鎖骨をハムハムしやがったよハムハム。可愛いにもほどがあるだろ。



小町「うーーーっ……」ハムハム///

八幡「………」



 うーん、このままうなじの観賞会も良いが、それじゃあ俺が責められっぱなしだな。



八幡「いただきます」

小町「えっ……ひゃっ///」ビクッ



 生まれて初めての首筋は、今まで食べたどんな魚よりも美味しかった。



58 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 19:58:39.79 ID:P2WNBJ1V0



八幡「はむっ……ちゅっ、じゅるっ」



 やべ、とまらね。あんだけこの行動は性欲と関係ないって言ってたのに。



小町「ふぁ……ら、らめだよはちまん///」

八幡「何でいきなり呼び捨てなの?」

小町「だ、だってぇ///」モジモジ

八幡「だってって、お兄ちゃんにもゴミィちゃんにもはちまんの文字がないよな。それなのに、何であんな本能のままに出て来たの?」

小町「そ、それは……///」



 顔を真っ赤にする小町。ほんの少し小町の匂いが強くなった気がする。



八幡「もしかして、俺の名前呼んだことあるの?」

小町「っ/////」ビクッ



 ギューーーッと俺の身体を締め付ける小町。胸元に顔をうずめ、グリグリと動かす。



八幡「なぁ、もう一回呼んでくれよ」ペロッ

小町「ふぁっ///」ビクンッ


 小町が俺に全身の体重を預けてきた。さっきからおっぱいに手が当たっているが、お互い気にもならない。はぁ~、もっとモミモミしたいよぉおおおおお! ……落ち着け俺、小町の中で俺以外どうでもいいくらい支配してやるんだろ。


八幡「はやく」カプッ

小町「そ、そんなことされちゃ/// 小町言えないよぉ///」

八幡「………」サッ

小町「ふぇ?」


 俺は急いで小町から距離をとり、椅子に座る。


八幡「ほら、離れたぞ。言ってくれよ」


 小町の寂しそうな表情、寂しそうな身体は、今までのどんな女優より艶めかしかった。


60 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 20:11:09.97 ID:P2WNBJ1V0

小町「……は、はちまん…」モジモジ///

八幡「おう」

小町「……八幡…」エヘヘ///

八幡「ん」



 俺は両手を広げ、小町を迎え入れる体勢をとる。



小町「八幡♪」ニシシッ



 小町は俺に抱きつくより名前で呼ぶことに気を良くしたのか、とても楽しそうに何度も何度も名前で呼んだ。



小町「はーちまんっ♪」

八幡「おう」クンククンカ

小町「はちゃっ!?」ハッ///



 ここで取り出すはタンクトップである。

 小町が嬉しそうな恥ずかしそうな何とも言えない表情で立ちつくしている。



八幡「やっぱ本物の方がいいな」ボソッ



 ギリギリ聞こえる声を出した。もちろん小町には十分聞こえる声で。



小町「く、くさいよぉ……///」

八幡「ふーん、くせっ」ポイッ

小町「にゃーーっ!!」コラーッ



 怒った表情(もちろん目はにやけているのを隠せていない)で飛び込んでくる小町。マジ可愛い。



八幡「………くんくん」

小町「だ、だめっ/// ダメだよ八幡っ///」

八幡「くせっ」

小町「………」プクーッ

八幡「俺だけが好きな、俺だけの知ってる小町の匂い」クンクン

小町「……バカ…」ギューッ


 まぁ、最初の試合にしては上出来と言ったところか。

 その後、しばらく抱き合ったまま何も喋らず、ご飯の時間まで温度を共有していた。


 これからのことを考えると、夜の一人プレイがいつもより激しかった。

 翌日学校だと思うと、賢者タイムが恐ろしく長く感じたのだった。

61 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/22(水) 20:13:17.28 ID:P2WNBJ1V0


八幡の嗜虐レベルが1上がった!


小町との関係が【背徳的】になった!


続きは夜になると思います! では!
67 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 00:17:09.99 ID:9Jm8k/qF0
ただいもー。

次からは学校編になりまする。

誰から攻略するかは決めてないけど……
71 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 00:39:20.34 ID:9Jm8k/qF0



 あの日、小町に強制スイッチを押されて以来、俺の世界は変わった。

 以前まで、カーストなどというカテゴリで分けていた人間達が、全員豚に見えて来たのである。

 小町に対して存在していた愛情がない分、その嗜虐心は容赦なく牙を剥いていた。



戸部「隼人君マジかっけー」



 その性癖はもちろん男に対しても向いている、いや剥いている。

 特にカースト上位の人間達が小動物のように萎縮してしまう様を想像すると、自然と笑みがこぼれてくる。



結衣「………」ジーッ



 おいおい、お前に用はねーんだよビッチ。

 小町は愛があったから相手したが、基本的に俺の嗜虐心の対象相手は俺に対して敵意がある方が良い。

 舗装された山道なんかに興味はない。あるのは荒れた獣道をありとあらゆる兵器をもって悠々自適に登ること。



三浦「結衣さぁ、さっきからヒキオ見すぎじゃね?」

結衣「そそそ、そんなことはないしっ」



 由比ヶ浜が可愛い事はこの際認める。今の俺にとってそんなことはどうでも良いから。

 だが、俺の心はゆっくりと三浦の方向へ動いて行き———、止まる。



葉山「優美子、今日放課後どうする?」



 葉山隼人。

 やはりまずはてめーからだ。


 俺は寝たふりをするように机へと突っ伏し、肩を震わせた。


 笑いを堪えるのは難しいもんだ。


 
72 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 00:50:30.19 ID:9Jm8k/qF0



 葉山隼人をターゲットにして一週間が過ぎた。

 ぼっちのポジションを不動のものとしたせいか、なかなかうまい事アクションがとれない。


 そんな邪な考えで学業をこなしていたせいか、平塚先生から呼び出しを食らった。


平塚「比企谷。お前、これなんだ」パシパシ

八幡「えっと、俺の将来の予定っすけど」


 課題の内容は大まかな人生プラン。多くの生徒が大学へ行ってどこぞの企業へ就職などとテンプレ回答をするのだろう。それを指導しないのは生活指導の教員として怠慢だと思いますが、平塚先生。

 もちろん、今殴られても面白くも気持ち良くもないので言わない。

 だが、いつでもカウンターを食らわせてやるために、俺の中で理屈をこねあげる。


 大学へ行って企業に就職すると言う人生プラン。

 それは本当にプランなのか。

 否。

 本当に狙っている企業があるならその企業名を書くべきだし、その企業へ行くべきにはどこの大学へ行って、そのためにはこれくらいの勉強をするべきだ、と、それくらい計画してやっと人生プランの入口に立ったのではないか。


平塚「比企谷。お前、主夫ってなんだ主夫って」

八幡「先生知らないんですか? あなたが将来作るべき形ですよ」


 と、そこまで言ってしまったと後悔する。

 なぜここでわざわざ殴られる理由を作った。

 ただでさえアラサーの独身を相手に、結婚話はタブーだと言うのに……。



 しかし、彼女の反応は意外なものだった。



 
73 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 00:54:51.35 ID:9Jm8k/qF0


平塚「お、お前/// そ、そういう意味だったのかっ!?」カァ///


 は?

 何言ってんのこの行き遅れ。


平塚「だ、だが、君と私は教師と生徒と言う関係であるからして、例えそのような気持ちがあっても私は絶対に答えることはできない/// だから、その、嬉しいが……すまん」


 ドクン。


 あれ……なんだこの気持ち。


 似ている。


 あの、思春期特有の……年上の女性に憧れるような……、




 年上の泣き顔を見て、興奮するような感情に。




 やはり俺の思春期も歪んでいるのであった。まる。



八幡「お、おお、俺っ、ほ、本気だったのに!!」ガタッ



 前哨戦だ。軽く遊んでやるよ、静。



 
76 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 01:01:52.80 ID:9Jm8k/qF0


 職員室に呼びだしたのがまずかったな、静。


平塚「お、落ち着け比企谷。ここはちょっとまずい」ボソボソ


 かなーり落ち着いてますが、平塚先生。

 心臓が張り裂けそうなのはあなたじゃないですかね。


 幸い昼休みも終わりに近づいていたため、教師の数は少ない。それでも数人の教師がチラチラとこっちの様子を見ている。あ、もちろん幸いなのは平塚先生にとってだけど。


八幡「だって! こんなにも俺の事を考えてくれるのはあなただけじゃないですか!」


 勢いよく立ちあがり、大きな手振りで平塚先生の活躍を訴える。

 聞く人が聞けば美談だが、下衆な人間が聞けば変に捉えるだろう。


平塚「そ、それはお前が生徒だからだっ」アセアセ///


 顔を赤く染めて言っても説得力ないですよ先生。

 でも、気付かなかったな。この人、こんな可愛く笑うんだ。

 この場合の可愛くとは顔の造りではなく、嗜虐心をそそると言う意味だが。


八幡「慕っているんですよ! 平塚先生!!」ニヤニヤ


 気づけ。

 俺の表情に何一つ心がこもっていないことを。



 あなたを苛めるためだけに演技していることを。



 今、俺の心はあなたでいっぱいですよ、静。
77 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 01:05:38.36 ID:9Jm8k/qF0


平塚「………///」カァ///


 は?

 いやいやいや。

 この人って、マジで公私混同する人なの?

 俺けっこう尊敬してましたよ。



八幡「あの……俺、外の空気が吸いたいです」



 ほら、喰いつけよ雌豚。

 俺はあなたが教師として俺を心配してくれてると思ってたのに。

 まさか見返りを要求していたとは驚きだ。



平塚「そ、そうだな。よしっ、ちょっと外へ行こう!」クルッ///



 そんな簡単に決めて良いのか静。

 ここにいる人たちは俺の手の位置を凝視しているぞ。




 腰の位置に置かれた俺の右手を。




 もちろん、触れてはいないけど。

 
78 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 01:13:45.85 ID:9Jm8k/qF0


 中庭。いや、ダメだ。今後の展開を考えると、なるべく教師と生徒の噂なんて立って欲しくない。馬鹿な奴はそれの一点張りで勝負しようとするだろう。そうなったら、めんどくさい。


平塚「こ、校舎裏……」ゴクリ///


 何想像してんだよこの人。頭に花が咲いてんじゃねぇのか。

 多くのプランが頭に浮かんでは消えて行く。

 ほら先生。俺はこんなにプランを立てるのが上手なんですよ。


 もちろん、そのどれもがあなたを泣かせる(良い意味でも悪い意味でも)ためのものですが。


 そうだな。

 これから先、俺は獣道を歩むのだから、覚悟が必要か。

 よし、引き返せないと覚悟を決めるための相手としては十分だな平塚静。


平塚「あ、あのな、比企た———」グイッ


 例えあなたが俺を暴力で支配しようとも。

 例え俺があなたに対して怯えた態度をとってきたとしても。


 ———ちゅ。


平塚「へ?」キョトン


 男の腕力に勝てると、本当にそう思っていましたか。


八幡「可愛いな、静」グイッ


 右手で平塚先生の後頭部を掴み、無理やり唇を奪う。


平塚「んっ!?///」


 今度は何が起きたか分かったのか、両目を見開いて顔を真っ赤にする。

 早く振りほどけよ。

 俺はあんたとラブコメがしたい訳じゃないんだ。



 ———苛めたいんだよ、静お嬢様。



平塚「や、やめろっ///」バッ



 よしよし、それで良い。
82 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 01:26:52.98 ID:9Jm8k/qF0



平塚「お、お前、分かってるのか!? ここは学校だぞ!!」ハァハァ///



 欲情した女の顔で言われても説得力ないですが。

 肩を小刻みに震わせて、両目には涙を溜めて。

 手は力み過ぎてグーのまま震えてるし。


 なんか思春期の処女みたいだなこの人。



八幡「そ、そうですよね……。ごご、ごめんなさいっ!」バッ



 俺はすかさず土下座をした。

 思い切りおでこを地面に擦りつけ、人が気付かない程度に叫ぶ。



平塚「お、おい、そんなことを望んではいない……」オロオロ



 プライドを持って人生を歩んできた人間にとって土下座をある種の神聖視している節があるが、俺にとって何のことはないただの行動だ。自尊心が傷つくことなど一つもない。



八幡「で、でも、俺っ、先生に好きな人がいることも確かめずにっ」



 ここで優秀な嗜虐愛好家の皆さんならお気づきだろう。

 相手を苛めることにおいて一番重要なことは、そう———相手に言葉で好意を伝えないと言うことだ。


 何が本気かも言っていないし、慕っていると言っても異性としてとは明言していない。


平塚「わ、分かったから顔を上げろ」グイッ



 ———ちゅっ。



平塚「ふぁっ///」



 乙女の声が口から洩れる。ちょっとタバコ臭いのが嫌いだな。

 だが、それも嗜虐心には勝てない。

 俺は土下座から顔をあげた体勢のまま、平塚先生の身体を引っ張り込む。



 そして、容赦なく口の中を犯しにかかる。



83 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 01:31:22.32 ID:9Jm8k/qF0
平塚「んっ/// はむっ……じゅっ…んお、ぃ……///」グイグイ


 先ほどよりも弱い力で俺を押す。

 だが、俺は痣になるほど平塚先生の肩を強く握る。


平塚「んんっ/// ふぁっ/// やぇろっ///」トローン


 彼女から力がどんどん抜けて行く。

 ここで握る力を抜けば、おそらくこの痴女教師は抱きついてくるだろう。

 だが、それでは意味がない。俺はさらに手の力を強める。


平塚「んっ!? ふぁ、ふぁちふぁんっ!?」ギュッ


 両目をつぶるほどの痛みが彼女を襲ったのだろう。両目からは涙がこぼれていた。

 そろそろか。


八幡「す、すみませんっ」パッ


 顔と手を離す。

 一瞬安堵した平塚先生の顔を確認すると、すかさず——。


平塚「……へっ?」ギュッ


 強く、抱きしめた。


八幡「……良い匂いだ」


 もちろん、そんなわけはない。煙草の臭いに今すぐ離れたいくらいだ。

 だが、彼女にはあまりに効果的だったのか、


平塚「………///」ポーッ


 固まって動かなくなった。


 ———きーん、こーん……。


 五分前のチャイムが鳴る。例え、滅多に使われない教室の裏とは言え、誰が来るとも限らない。


八幡「お、俺……、本気で主夫になりますから!」ダッ


 嘘偽りはありません。



 小町の主夫に俺はなる!!



 なんか背中越しに甘い吐息が聞こえたような気がしたが、無視することにした。

84 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 01:34:37.83 ID:9Jm8k/qF0



八幡「………」



 授業の内容が頭に入ってこない。

 とても、とても楽しい時間だった。

 例え万人に受けなかったとしても、犯罪だと罵られたとしても、


 ぼっち比企谷八幡にとって、これは一つの人と人との関わりなのである。




 この時の俺は気付いてなかった。




 とある視線が、由比ヶ浜ではない視線がこちらを向いていたことに。

 近い将来、その視線の主に俺の人生は握られてしまうことに。
85 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 01:40:40.34 ID:9Jm8k/qF0

 放課後、俺は再び平塚先生に呼び出しを食らった。

 最初は冷静になった彼女に昼休みのことについて説教されるか、続きを迫られるかと思っていたが、職員室へ呼びだしたことからその考えは否定した。



 だが、それ以上にめんどくさいこととなった。



八幡「え、俺が部活に?」

平塚「そうだ。拒否はさせん」ゴゴゴゴゴ



 鬼気迫る顔ですごむ平塚先生。

 集団行動は極力避けたいが、この人をもっと征服してやりたいという願望もある。

 そもそも、彼女は選択肢など用意してくれていない。あるのはイエスorイエスの枕だ。


八幡「……静がそういうなら…」ボソリ


 なるべく耳元へ近づけて、俺は言った。


平塚「………よし///」コクン


 小町との時間が減るのは嫌だが仕方ない。

 俺は彼女に連れられるまま、空き教室へと向かった。

87 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 01:47:01.96 ID:9Jm8k/qF0



八幡「………」



 教室の中心に凛と咲く一輪の花。

 絵画のような神秘性を醸し出しているその女生徒は、無表情のまま口を開く。



雪乃「ノックをしてくださいと言ったはずですが」

平塚「ああ、すまんすまん。それよりも、新入部員だ」



 教師に対してこの態度。不良学生か。

 自分のことは棚に上げて、俺は彼女の評価を落とす。


 雪ノ下雪乃。


 そう、俺のようなぼっちでも知っている有名人。

 まぁ詳しい説明は別の世界線の俺に頼むとして、彼女は俺の方を見向きもせず、


雪乃「お断りします」


 と、一刀両断した。


 とくんとくん。


 少しずつ八幡の心臓が高鳴っていく。

 だが、相手が相手だからか、まだまだ様子見をしようとしている自分に嫌気がさした。


 
88 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 01:52:55.47 ID:9Jm8k/qF0


平塚「よし、後の説明は頼むぞ雪ノ下」


 雪ノ下の意思は無視をして、平塚先生は教室を後にした。

 完全に逃げるタイミングを見失った俺は、その場に立ちつくしたまま、雪ノ下の透き通るような肌をただただ見つめることしかできなかった。



雪乃「……座ったらどうなのかしら」



 どうやら、部員としては認めないまでも、人間としては認めてくれるらしい。

 俺は近くにあった椅子を引いてくると、ゆっくりと座った。



八幡「……で、これ何の部活なんだ?」



 おそらく、小町との関係を間違えるまでの俺なら、この女に対して一歩引いたまま言われるがままにされていただろう。

 だが、今の俺は本当に狂っているのか、それとも馬鹿なのか分からないが、



 この女の泣き顔を想像してフル勃起していたのである。



 神様、俺、節操無いみたいです。
89 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 02:00:49.49 ID:9Jm8k/qF0



雪乃「それじゃあ、一つ、ゲームをしましょうか」

八幡「えっ、別にしたくないけど」



 沈黙。



 しばらく、空気が停滞する。

 由比ヶ浜なら「えー、なんでそんなこと言うのー!?」とベタベタ触ってくるだろうし、

 三浦なら「うるさい黙ってやれ」と女王様のご命令が飛ぶだろう。

 だが、雪ノ下雪乃は無言を貫く。



 俺にはその心が理解できる。



 こちらは譲歩してやった。

 後はお前が妥協するまでこちらは動かない、と。



 俺は、沸々と湧きあがる衝動を抑えながら、一手繰り出す。



 それは、将棋や囲碁で例えるなら悪手。

 だが、比企谷八幡の人生においてそれは“本気の一手”なのである。




八幡「は~、おっぱい揉みてぇ~」



 ぼっちにプライドなし。八幡にモラルなし。

90 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 02:01:24.74 ID:9Jm8k/qF0
ちょっとコンビニ行ってきます!
ここからは対雪ノ下戦です!(イチャラブはまだないよ!)
92 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 02:48:33.52 ID:9Jm8k/qF0


雪乃「………」


 ふん、分かるぞ雪ノ下雪乃。

 お前は今、葛藤している。



 この男に言いたい放題言われて立ち去るのか、それとも目の前の変態を屈服させるのか、を。



 普通の女子なら、俺を変態だと罵って逃げるか通報するだろう。

 だが、この女は違う。

 俺の中の冴えたことのない勘がそう囁いているのだ。



雪乃「あ……あまりに下衆過ぎて言葉を失ってしまったわ」



 時として、言葉はナイフのような切れ味を発揮すると道徳の時間に教わったものだが、たしかにそれはその通りだ。

 雪ノ下雪乃が振り下ろしたナイフは俺の心臓に突き刺さって、爆発した。



八幡「ふ……ふざけんなっ」



 それじゃあ、まるで、“普通の女”みてーじゃねぇか!



八幡「お前はっ、雪ノ下雪乃はちげーだろ! どんな存在でもぶった切るような、そんな研ぎ澄まされた刀のような女だろうが!」



 何でこんなに熱くなってんだ俺。

 まるで、これじゃあ……こいつという存在に憧れていて、それを打ち砕かれたみたいじゃねぇか。


雪乃「………」


 雪ノ下雪乃はしばらく沈黙した後、先ほどまでと全く表情を変えず口を開いた。




雪乃「どうかしら。“欲しいモノを貰えなかった気持ち”は」




 そう、雪ノ下雪乃は今の俺じゃ太刀打ちできないほど——強かったのだ。



93 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 03:11:30.48 ID:9Jm8k/qF0


三浦「あれ? ヒキオじゃん」


 絶望のビリーと化した俺の目の前に現れたのは、雪ノ下雪乃に負けずとも劣らない女王——三浦優美子だった。


八幡「………」


 いつもなら俺の食指には引っかからず無視していた所だ。三浦優美子はいつか屈服させる予定だが、葉山隼人の後にするつもりだったからだ。


八幡「………」ホロリ


 だが、無理やりキスされた被害者が泥水で口を啜るように、犯された処女が指で精子をかきだすように、



 比企谷八幡は手ごろな女を求めたのである。



三浦「は、はぁ!? なんでいきなり泣きだしてんの!?



 あまりに唐突だったのだろう。いつもなら「キモっ」とか「ウザっ」とか悪態ついて立ち去るはずの女王が、オロオロと心配していた。




八幡「何でだろうな……一緒に探してくれるか?」




 アイデンティティとはサヨナラだ。

 ぼっち八幡は今、雑食の獣へと歪んだのだ。




三浦「な、何をいきなり訳わかんないしっ///」プイッ




 今なら分かる、三浦優美子の魅力。

 それは“頂点ゆえのレアリティ”。

 彼女がどれだけ自由に動こうと、許される。それは彼女が頂点であり、咎める術を下々の民が知らないからだ。



 だから、だからこそ“隙は多い”。



八幡「俺さ、“本当の”三浦をもっと見たい」



 過去の自分が見たら発狂して穴を掘って餓死するような恥ずかしい言動も、今の俺なら言えた。


 その形は以前より酷く歪んでいたが。



 
94 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 03:15:47.31 ID:9Jm8k/qF0


三浦「それで、何でラブホに来てんの?」ジトーッ


 ここで、少し過去にさかのぼってみよう。小町の時に話したパンツ理論である。

 そこでは処女性について話をしたと思う。それを思い出して欲しい。



 それでは質問。



 三浦優美子に処女性はあるでしょうか。

 答え、皆無である。

 男を千人斬りしてても驚けないような、そんなビッチの品格もまた兼ね備えていた。


 だが、俺は思う。


 このプライドの塊のような女が、その辺の男に対して簡単に股を開くだろうか、と。




 答え。




八幡「え、通り道だったけど、ここラブホって言う場所なのか?」

三浦「」カオマッカ///




 処女である(確信)。
95 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 03:24:01.77 ID:9Jm8k/qF0


八幡「お前、すげーな。高校生でラブホの場所分かるなんて」


 ああ、心が癒されていく。

 雪ノ下雪乃にズタズタに引き裂かれた心が少しずつ形を取り戻していく。


三浦「そ、そんなん常識っしょ///」フンッ

八幡「……やだな」

三浦「へ?」




八幡「三浦がそんなとこに行くの……やだな///」プイッ




 誰だお前。

 誰よりも人の表情について客観的に見て来た俺は、逆に言えば効果的な表情づくりのエキスパートでもある。




三浦「な、なんか今日のヒキオ変だしっ」///


 顔を赤くして、挙動不審なお前の方が変だし。あ、口調が移った。


八幡「そりゃあ、お前みたいな学校一の美人と一緒にいられたら、変にもなるだろ」


三浦「あ、あう///」パクパク


 単純。

 三浦優美子は美に対して強い執着を抱いている。

 それは体育の後は必ず化粧タイムをとるところからも明らかだ。

 そんな女王より美しさにおいて上位にいる人間がいる。


 もう一人の女王雪ノ下雪乃である。


 つまり、ただ誉めるだけでは、三浦優美子の中ではただのお世辞でしかない。

 頂点に立ち続ける女は、自分が最も求めているモノに置いて負けている。しかも相手はそれにあまり興味がない。


 だから、俺はあえて三浦を一番だと認める。実際あいつより三浦の方が美人だし(負け惜しみ)。


八幡「お前が一番だよ、“優美子”」


 三浦優美子の心が———少しずつ解け始めた。


96 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 03:32:47.48 ID:9Jm8k/qF0


 翌日、登校した俺に待っていたのは、“最初の目的を果たす”チャンスである。


戸部「だ、だからわざとじゃねーっすよ」

先輩「うるせぇ! お前調子に乗り過ぎなんだよっ!」

葉山「せ、先輩っ。こいつのこと許してやってください!」


 事情はよく分からんが、チャラ男が調子乗って三年を怒らせたのだろう。

 葉山隼人のカリスマ性は女性か、同い年以下の男にしか通じない。

 なぜなら、男は年上の男に憧れるものであり、年下は年上を敬うモノだと思っているからである。


先輩「おめーには関係ねーだろ。しゃしゃってくんなよ」


 相手はどこの組の人ですか。高校三年生にしてはいささか迫力がありすぎやしませんかねぇ。


戸部「ほ、本当に申し訳ありませんでした!」

先輩「あ? 急にしおらしくなったからって許すと思ってんの?」

戸部「………」プルプル

葉山「い、いいかげ———」


 例えば、だが。

 俺が世界を救う勇者だったとしよう。似合わないとか役者不足とか言うのやめて。

 そんな俺が魔王を相手に苦戦していたとする。


 そこへ颯爽と現れる村人A! その手にはクワが握られている。


 だれしもが彼の死を確信していた。

 だが、なんということでしょう、村人Aは魔王を一刀両断したのである。クワで。


 彼を称賛する人々。湧きあがる世界。平和な国。


 ……一方、勇者は帰りに道具屋でロープを買ったのでした。ちゃんちゃん。



八幡(つまり、この場合……勇者葉山隼人の最も求めていない展開は……)



 村人Aの出現である。



八幡「先輩、俺のクラスメイトを苛めるのはやめてもらえますかねぇ」



 俺の中に恐怖の二文字は、なかった。

97 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 03:40:23.14 ID:9Jm8k/qF0

戸部「ひ、ヒキタニ君……」

葉山「………」


 葉山隼人の絶句顔。それだけでご飯三杯行けたが、これからもっともっとあいつの色んな顔を見えるかと思うと、心の息子がフル勃起していた。……けして身体は反応していない。


先輩「お前、そんなひょろっちぃ身体のくせに、俺に喧嘩売るの?」


 おお怖い怖い。

 人を殺す勢いでメンチを切る先輩。

 だが、その心は透けて見える。


八幡「ねぇ先輩」

先輩「あ?」



八幡「進路、ダメにされたいの?」ボソッ



先輩「」


 勝利の瞬間である。


 綺麗に履かれた上履き。

 着崩して見えるがアイロンのかかった服。

 何より校則通りの髪形。


 どう考えてもこの人真面目な人でしょ。


八幡「それじゃあ行きましょうか」グイッ


 思い切り腕を掴んで引っ張ってやる。


先輩「お、おい、やめろよっ」アセアセ


 言葉では抵抗するものの、その身体は震えで全く力が入っていない。


八幡「え、何言ってんるんすか? 今更引くんですか?」


 ざわざわ、ギャラリーがどんどん増えている。ほとんどが野次馬だが、先輩にとっては自分の進路を脅かす存在に思えただろう。


先輩「ちっ、こ、今度から気をつけろよ!」


 捨て台詞を吐いて去ろうとしたので、俺は掴んでいる腕を離さずむしろ引き寄せてやった。


先輩「うわっ」ヨロッ

八幡「………」

先輩「な、なんだよっ」


 最後の最後までプライドを保とうと凄む先輩。

 どこまでいっても小動物である。
98 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 03:46:08.07 ID:9Jm8k/qF0


八幡「俺のクラスメイトに謝ってもらえますかねぇ」



 もちろん、俺は彼らをクラスメイトだなんて思ったことは一度もない。

 だが、畑は耕さなければ作物は育たない。

 フラグは建てないとイベントは起きない。


 この後、葉山隼人と“遊ぶ”ためには、どうしても避けては通れない道なのである。



八幡「お願いします。“大人の先輩”に妥協して欲しいっす」ペコリ

戸部「ひ、ヒキタニ君……」ウルウル


 勘違いするな。

 お前は獲物認定もされていないバクテリアだ。視界にも入らない。

 俺の目的はあくまでも、


葉山「………」


 リア充界の王子様だ。



先輩「お、俺も言いすぎたよ。悪かったな……」

戸部「い、いえっ、本当にすみませんでした!」

葉山「……すみませんでした」



 三人が謝りあって、この場が平和に収まる。

 だが、彼らがいくら言葉で謝ろうとも、頭を下げているのは比企谷八幡ただ一人なのである。



八幡「………」クルッ



 十分耕せたので、俺は立ち去ることとする。

 もちろん、すぐに立ち去らせてもらえるとは思えないが。



葉山「ヒキタニ君」

八幡「誰だよそれ」

葉山「……ありがとう」



 手に取るように分かる不満顔。

 結局リア充にも心の琴線は存在するし、それは案外簡単に届くのである。
99 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 03:53:32.65 ID:9Jm8k/qF0



 教室にたどり着くと、案の定歓声が上がる。



「お前、凄い奴だったんだな」

「見直したぜ!」

「隼人君でも無理だったのに!」

「もっと早く知ってれば!」



 様々な賞賛が俺を迎え入れる。

 もちろん悪い気はしない。

 しないが、一片たりとも嬉しくはない。

 そんな上辺だけの言葉は、恥辱と葛藤から絞り出される嗚咽には足元にも及ばないのである。



葉山「ヒキタニ君、もし良ければさっきの理由を聞かせてくれないかな」

八幡(やっぱそう来るか。単純な奴)

葉山「君はそんなキャラじゃないはずだ。どうしてあんなことをしたんだ」



 真剣な葉山に周囲の人間は温度差を感じていることだろう。

 俺はもちろん真剣に葉山の正面に立っているが、真剣に殴り合う気はない。



八幡「クラスメイトを助けるのに、理由がいるのか」



 おお、と歓声が上がる。ハリボテ共が。



葉山「そうか、僕は君のことを誤解していたみたいだ」スッ



 右手を差し出す葉山隼人。

 それを掴めば友情が成立する。

 底辺ぼっちだった俺がトップカーストの葉山隼人と仲良くなる。それはサクセスストーリーに似た爽快さがあるんだろうな。


海老名「ハヤ×ハチ! ハヤ×ハチキタコレ!!」ブシャァッ!!



 落ち着け海老名。

 お前の求めるモノはこの先にあるんだよ。



 海老名を視界の端に入れながら、俺は葉山の右手に向かって———お尻を差し出した。



八幡「ヒンヒン! ヒンヒン!!」



 世界が凍りついた瞬間である。
 
100 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 04:01:18.49 ID:9Jm8k/qF0


 クラスメイト達が全員固まっている中、俺は葉山隼人の右手にケツを当てる。


 ハニ○・ポッターには、自ら求めるなんて豚としての自覚が足りないと怒られるかもしれないが、俺の目的は豚になることではない。葉山隼人と言う人間で遊ぶことである。

 その前にあの大人気ssのファンに殺されそうだが(ご機嫌取り)。



葉山「何を言っているんだ……比企谷君…」プルプル



 人は己の理解の範疇を超える出来事があった時、震えるものだ。それはリア充とて例外ではない。

 それでも、俺と対等に接しようとするその姿は称賛に値するが、あいにく俺にとって葉山隼人獲物でしかないし、そんな上っ面だけのクソみたいな対応は要らないのである。



八幡「お前、なんで今まで“わざと名字間違えてた”の?」



 ざわ。

 クラス中の人間が葉山隼人に視線を集める。



葉山「そ、それは……」



 葉山の顔が青ざめて行く。

 それはそうだろう。今までだれもが咎めなかった葉山隼人の悪行(程度はしれてる)を指摘したのである。変態が。



八幡「はっ、どうせ俺の事を見下してたんだろ。楽しかったか?」



 第三者視点で見れば、虐められっ子の反逆に見えるだろうが、もっと歪んでいる。




 これは、葉山隼人処刑ゲームなのだ。




101 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 04:07:51.41 ID:9Jm8k/qF0


葉山「……気にしてたなら謝るよ。すまない」


 謝罪の言葉を述べる葉山。いつもならすぐに非を認める聖人君子としてあがめられる所だが、今回ばかりはそうはいかなかった。


八幡「いや、その前に俺の行動を咎めろよ」


 ぷっ、と生徒の一人が笑った。


結衣「あ……」


 お前かビッチ。ほんと、笑いの沸点も低いのな。まぁ今回は良い仕事をしたが。


葉山「/////」


 リア充の顔面が真っ赤に染まる。


海老名「ぷっしゃぁああ! なんという! なんという!!」ハァハァハァ///


 遠くで海老名がヘブン状態になっていた。が、今はそんなことにかまっている暇はない。


八幡「もしかしてお前……興奮したのか?」

葉山「は、はぁ!?」カァ///


 もちろん、図星からの赤面ではないと分かっている。体験したことあるものなら分かるだろうが、一度赤面してしまうとしばらくの間赤面しやすくなってしまう。ただそれだけの話だ。



 だが、第三者はそうは受け取らない。



 ざわざわ。各所で悪意のあるヒソヒソ話が始まる。

 なんという結果。

 お尻を差し出した俺よりも、差し出された葉山の方がダメージがでかいのである。



 それでも、ほぼ自爆と言う形でなければダメージを与えられそうにないことは、葉山隼人と言う人間の完璧性を物語っていたのだが。
102 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 04:13:50.06 ID:9Jm8k/qF0


 屋上に呼び出された俺は、成すがままについていった。


 呼びだしたのは、女王三浦優美子。


三浦「なんであんなことしたし」ギロッ


 その表情は怒りで満ちている。

 どうやら、俺好みに育っているようだ。なによりなにより。


八幡「……わりぃ…」


 本当は「お前には関係ないだろ」と跳ねのけたいが、三浦の人間性はそれを許さない。

 だから、俺は引く。


三浦「……もしかして、さ、ヒキオ」


 怒りの表情に同情の色が混ざった時、俺は本当に三浦優美子と言う人間が好きになった気がした。


三浦「………辛いことがあっ——」


 力いっぱい抱きしめた。


八幡「……言わないでくれ。“優美子”」


 なるべく消え入りそうな声で、名前を呼ぶ。


三浦「……やっぱよえーし」ナデナデ


 頭を撫でるな。主導権握られているみたいで腹立たしい。


八幡「なぁ優美子、




 今日、俺の家で相談受けてくれないか?」




 それは、挑戦状と言う名の罠。

 女王優美子を陥れるための、狡猾な、釣針と糸。



 もちろん俺はフル勃起していた。



 
103 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 04:15:14.03 ID:9Jm8k/qF0
いったんここまで!

ハーレム設定ではないので、小町の時のような爽快さがないことをご了承ください!

ハーレム設定にしようかな……
105 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 05:17:12.49 ID:9Jm8k/qF0



三浦「お邪魔しまーす」



 流石の女王も、他人の家では萎縮してしまうのか、少し控え目な声を出した。

 放課後、平塚先生を苛めて帰ろうかと思っていた矢先に三浦に腕を引っ張られ、家に行くぞと脅されたのだから仕方ない。というか俺が言いだしたことなのだから自業自得だ。



八幡「可愛い妹しかいないが、まぁゆっくりしていってくれ」



 正直八幡君に女神三浦様がくれたのは、



三浦「………」プクーッ



 女王様の嫉妬だった。


 平塚先生辺りから俺はありえないと思うことをやめた。


 だから、三浦も俺の女関係に嫉妬するし、平塚先生も俺のことが好きなのだ。


 しかし雪ノ下雪乃が俺と関係を深めることはありえない。絶対に。



小町「にゃっはろーーーっ///」ダダダッ



 スポブラにスパッツという、絶対に人前に出てはいけない格好で俺に突進してきた小町。



八幡「おいおい、天使かお前は」



 両脇に容赦なく手を突っ込んで、小町を持ち上げ回転する。



小町「にゃははっ、おにぃちゃんポイントたかーい♪」



 もちろんさりげなく胸は揉んでいる。

 乳首辺りに触れるたびに小町の目じりがピクリと反応してエロい。



三浦「……つーか、あんたら血繋がってんだよね?」

八幡「当たり前だろ」

小町「おやおやー、私のお兄ちゃんを奪おうとする美人さんは誰かなー?」ジーッ

三浦「三浦優美子です。比企谷君とはクラスメイトでお世話になっています」ペコリ

八幡「何にも世話なんてしてねーよ」

小町「ふーん、ほうほう、やっぱゴミィちゃんは綺麗で気の強い女の人が好きなんだねー」ウンウン

八幡「は? ねーよ」

三浦「今、誰の事想像したし」ジトーッ

八幡「うっ……」
106 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 05:19:25.30 ID:9Jm8k/qF0


八幡「オレンジジュースで良いか?」

三浦「何でもいいし。それよりはよ悩み言えし」

八幡「まぁまぁ、せっかく俺の夢が叶ったんだ。ゆっくりしていけよ」ヨイショ

三浦「夢?」



八幡「ああ、世界一美人な三浦と部屋でイチャラブすること」



三浦「………はぁ!?」カァ///

八幡「オレンジジュースとってくる」ガチャリ




八幡「作戦開始」ヘッ




107 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 05:24:54.20 ID:9Jm8k/qF0


 俺は、冷蔵庫のあるキッチンへは向かわず、小町の部屋へと入る。


八幡「どうだ、角度はばっちしか」

小町「ばっちしだよゴミィちゃん♪」


 小町は自分のスマホをこちらに見せた。画面には三浦がキョロキョロと俺の部屋を見渡している。


 そう、今俺と小町のスマホはテレビ電話状態で繋がっているのである。


 もちろん、盗撮なんて犯罪めいたことが目的ではない。


 俺の性癖はあくまで人間の心を屈服させることであり、性欲を満たすことではないからだ。だから小町とは一回しかしてない。


三浦『イチャラブってあいつ……何考えてるし…』


 頬を赤く染めて三浦はブツブツと独り言をつぶやいている。


小町「可愛いね、三浦さん!」

八幡「ああ、小町の次にな」ナデナデ

小町「へへーっ、すりすり~♪」

八幡「お、おい、声が聞こえたらまずいだろっ」

小町「そうだった」テヘッ


 三浦を映している目的は一つ。

 あいつが俺の部屋を物色し始めたタイミングで部屋に入るためである。


三浦『………』ソワソワ

小町「そわそわし始めたよお兄ちゃん!」

八幡「まだまて、あいつは肉食動物だ。勘の鋭さは俺の比じゃない」

小町「お兄ちゃんそれ自信満々に言っちゃいけない奴だよ……」
108 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 05:37:10.44 ID:9Jm8k/qF0


三浦『………』ノビーッ


八幡「そろそろか」

小町「えっ?」

八幡「あいつは気の長い方じゃない。このまま行けば飽きて帰ってしまう」

小町「うぅ……」

八幡「じゃ、行ってくるわ」スクッ



 俺はオレンジジュースを二つ持って部屋を出る。

 小町の寂しそうな視線を背中に感じつつ、足で扉を閉める。



 彼女は気付いていない。



 俺の本当の標的は小町であるということに。




109 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 05:37:37.75 ID:9Jm8k/qF0
八幡「わりぃな、ちょっと手間取った」

三浦「おせーし」

八幡「精子?」

三浦「はぁ!?///」

八幡「何で顔を赤らめてるんだ?」

三浦「べ、別にっ」プイッ///

八幡「ほれ」

三浦「ん」ゴクリ

八幡「で、何の話だっけ」

三浦「あんたがあーしに話があるんでしょ!」

八幡「ああ、そうだった。優美子の目があまりに綺麗過ぎて忘れてた」

三浦「さ、さっきからなんなん!? あーしのこと馬鹿にしてるし!」

八幡「どこら辺が?」

三浦「誉めすぎなんだよ!」

八幡「んじゃ誉めるのやめるわ」

三浦「……えっ」

八幡「で、聞いてくれるか」

三浦「う、うん……」
110 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 05:44:39.91 ID:9Jm8k/qF0
八幡「俺、実は……葉山の事が好きなんだよね」

三浦「…………は?」

八幡「あいつって良い身体してるじゃねぇか。……すごく…興奮するんだ」

三浦「ちょ、ちょっと待てし。あんた本気で言ってんの?」



 心の底から引いてる表情が俺の嗜虐心を強くそそる。

 三浦優美子の中で、勝手に気付きあげた俺の自分に憧れているという構図はもろくも崩れ去り、なんということかハヤ×ハチが現実になろうとしているのだ。



三浦「お、男同士なんてキモいし!」

八幡「ダメか?」

三浦「だめに決まってんじゃん!」

八幡「あいつのチンポあんなに美味そうなのにか?」

三浦「えっ?」


 結局のところ、人間とは下品なトークが好きなのだ。

 急に出た八幡葉山隼人のチンポを見たことがある説に喰いつく三浦。見たことある訳ねーだろ。


八幡「……すごく、大きくて……それでいて綺麗で…」

三浦「へ、へぇ……」ゴクリ


 元々三浦は葉山に憧れている節を感じていたが、これで確信が持てた。

 三浦優美子は少なくとも最近まで葉山隼人に異性としての魅力を感じていたのである。


八幡「俺のより一回りくらい大きいかも……」

三浦「ヒキオの小さいんだ」アハハ

八幡「確認するか?」

三浦「き、キモい事言うなし!」カァ///


 三浦の視線は俺の身体、特に下半身中心に泳ぎ始めた。分かりやすい奴。
111 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 05:53:36.54 ID:9Jm8k/qF0


八幡「でもさぁ、自信ないからやっぱ無理っ///」


 むりやり顔に力を入れて頬を赤くし、照れてるようにそっぽを向く。

 肉食動物は往々にしてチャンスに深追いする性質がある。それは強ければ強いほど顕著だ。

 その結果、崖から落ちたり追いかけていた仲間から反撃に遭うことなどが多々ある。


三浦「へぇ、なんかそんな風に言われたら見てみたくなってきたし」ニマァ///


 今まで散々美人だのスタイルが良いだの弄られてきた仕返しとばかりに、弱気になった俺を攻め立てる三浦。



 だが、八幡地獄はそんなに甘くはなかった。



八幡「三浦になら……良いか」



 そして、俺はズボンとパンツを同時に脱ぐ。

 ぽろん、と、八幡の性器が露わになったのである。



三浦「!?」ジーッ///



 大きさが意外だったのか、三浦は俺の下半身にくぎづけだった。

 エロい漫画に出てくる「大きい……」というのは大抵勃起している性器の事を指すのであり、萎んでいるときの大きさや形は案外女の子は平気だったりする。



三浦「案外大きくないんな///」

八幡「……触ってみるか?」



 俺はさらに無防備な草食動物を演出する。

 もちろん、これに三浦が食いつかないはずもなく、



三浦「う、うん……///」



 ゆっくりと手を伸ばし、その細身の指で俺の性器に触れた。

 ひんやりとした指が俺に快感を与える。



八幡「んっ……」

三浦「………」ニマァ///


 もちろん、今の声は演技なのだが、処女の三浦は自分のテクで相手が気持ち良くなったと勘違いした。


三浦「なぁヒキオ……」モジモジ

八幡「何?」
112 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 05:57:20.80 ID:9Jm8k/qF0

三浦「ほ、本当に隼人のこと好きなん?」

八幡「………」

三浦「い、いや、最初は引いたけど、よく考えたらそれって失礼っつーか、好きにルールなんてねーし、あーしは別に良いと思う」アワアワ///



 性器を握ったまま何を言ってるんだこの女。

 それでも、普段気の強い女がしどろもどろになる所は十分興奮するし、三浦もうすうす感じているだろうが俺の性器はだんだんと凶悪さを増していた。



八幡「優美子……本当はな、



 お前が好きなんだ」



 そそり立つ性器を握ったまま、三浦優美子はしばし放心状態となる。



113 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 05:57:51.10 ID:9Jm8k/qF0
おはようそしておやすみなさい。では。
124 : 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/23(木) 17:16:34.58 ID:sSomJZUQ0
結局本命は小町なんだよな?
126 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 18:23:11.88 ID:9Jm8k/qF0
こんばんちわ!

>>124
基本的にこの八幡は好きでは動いてません!
今のところ小町にのみ愛情があるためそういう風にみえるかも

刺されたりの修羅場は作るかどうか迷ってます!

続きー
128 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 18:36:15.99 ID:9Jm8k/qF0


三浦「す、好きって……じゃあ何であんなこと言ったし」ニギニギ///


 おい、それは握力を鍛える道具じゃない、握り過ぎだ、潰れる……。


八幡「そうだったそうだった、悪い、間違えた」ハァハァ…


 このハァハァは興奮してじゃない。痛みを忘れるための腹式呼吸だ。ひっひっふーだ。


三浦「ぁあん? どういうことだし」ギューッ

八幡「くっ!」バッ


 自発的に襲わせたかったが仕方ない。俺もこの年でタマナシにはなりたくないからな。


三浦「きゃっ///」ドサッ


 もつれるように倒れるが、俺は冷静に三浦の胸と下半身に手を当てる。

 そう言えば、小町ので初めて知ったが、パンツ越しの性器って柔らかいのな。どうでもいいか。


八幡「いててて……」


 青春ラブコメの主人公がトラブルで倒れた時のような反応をとる。今はまだ三浦にわざとだとばれたくない。


三浦「……ヒ、ヒキオ///」モジモジ


 俺の手をどかそうと太ももをモゾモゾと動かす三浦。中途半端な動きが自身の秘部に刺激を与えていることに気付くと、両目をギュッと閉じて「ゃ……んっ///」と声を漏らした。

 少し、意外だった。

 三浦ほどの女王なら「OH、YES!」くらい言ってもおかしくないと思ってたが……まぁ、処女じゃ仕方ないか。今後「OH、YES!」と言わせるようにして英語の授業中に言わせてやろう。


八幡「ん……どうした?」

三浦「あ/// え、えっと……///」プイッ///

 こういうときは思い切り白々しく反応するのが吉だ。

 もしこの後、三浦があそこを触られていることを指摘すれば、先ほどの声は俺が触ったからだと言っているようなものだ。つまり「気持ち良かった」と自ら認めてしまうのだ。


 俺は、逃げ場をなくすためにさらにとぼける。


八幡「もしかして、さっきの声……」

三浦「い、言うなし!」ベシッ
 
129 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 18:43:29.03 ID:9Jm8k/qF0


 いきなりだがここで一句。


 嫌ならば

 本気でどかせ

 ビッチ共


 先ほどからこの体勢のままお互いジッと動かない状況が続いていた。

 俺は秘部に手が当たっていると気付かないふりをして三浦の顔を見つめる。


三浦「あ、あーしにこんなことしてどうなるか分かってるんでしょうねっ」ジッ///


 その声に迫力はない。むしろ、とろとろに蕩けた甘ったるい声に近付きつつある。


八幡(そろそろかな……)バッ

三浦「えっ……?」


 俺はおもむろに立ち上がると、猛ダッシュで隣の部屋に向かう。



<ヘッ!? ダ、ダメダメダメッ



 なんか扉の向こうから焦っている声が聞こえるが無視だ。



 ———がちゃり!



 壊す勢いでドアを開けると、そこには———、




130 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 18:44:05.36 ID:9Jm8k/qF0





 膝辺りまでパンツをずらし、秘部に両手を当てる妹の姿が———あった。





132 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 19:01:52.50 ID:9Jm8k/qF0




小町「っ////////」ウルウルウル///




 あの太陽から生まれて来たような、影が一切ない小町が、

 恥辱と後悔に塗れ、俺にこれ以上見るなと懇願するような哀願するような表情で見つめていた。



 下半身丸出しの俺は、今すぐ小町に飛びつきたくなった。

 が、それは性欲だ。俺の求めるものではない。

 この物語は、比企谷八幡の間違っている青春ラブコメは、そんな野生動物のような理性のかけらもない行動をとっていくものではない。


 俺が俺として生きて来た、他人の誰からも認められず目を背けられ続けた結果の塊のような物語。


 俺は必死に性欲を抑え、そしてシャッターボタンを押さえた。


 ——カシャリ。


 そして、俺は小町の反応を待たずに部屋へと戻る。

 俺と小町はもはや一心同体だ。あいつが今、どれだけ可愛い顔で後悔しているかなど想像に容易い。



 それよりも今は———三浦優美子。

 いきなり置き去りにされて放心状態であろう彼女を、迎えに行くことが使命である。



八幡「優美……子?」



 人生に予想外の出来事はつきものだ。

 惚れた女が親友と付き合ったり、

 宝くじが当たった次の日に事故で死んだり、

 隕石が頭に当たっても生きていたり、


 そんな“ありえないことが起きる”のが人生だ。


 だから、俺は取り乱したりしない。
133 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 19:07:57.40 ID:9Jm8k/qF0




 三浦優美子が膝の部分までパンツをずらして両手を秘部に当てていたとしても、俺は取り乱したりしない。




三浦「あ……ちょ、え、ま、待つ…し/////」オロオロ

八幡「………」カシャカシャカシャカシャカシャッ!!

三浦「うぇええ!? や、やめぇ///」イヤイヤ

八幡「………」カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ!!

三浦「ひ、ヒキオ!」カァ///



 俺は、取り乱したりしない。



八幡「そのまま」


 なるべく低い声を演出する。


三浦「な、なん——」

八幡「優美子、そのまま」ニコッ


 屈託のない笑顔という仮面をつけて、俺は三浦に近づく。


三浦「……う、うん…///」


 秘部を晒したまま、三浦は恥ずかしそうに両手で顔を隠した。なにこのAV。


135 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 19:13:13.01 ID:9Jm8k/qF0



 正直言って、迷った。



 クラスのいや学年の頂点三浦優美子を制圧すること。



 それはぼっち界の悲願ではないのか。

 クラスですら友達のいない俺が、誰もが認める女“三浦優美子の処女を奪う”。しかも同意の上に。


 革命である。


 ……だが待て、しばし。

 俺は今、こいつを女としてでも人間としてでもなく、“学校での価値”で抱こうとしている。

 それは有象無象どもと同じ考え。


 吐き気がする。


八幡「………」ウッ…

三浦「どしたん?」オロオロ


 三浦は優しく声をかけてくれるが、それが余計に俺の状態を悪化させる。

 お前はその程度の人間だったのか。

 普段周りを見下しながらも、結局のところ根源では一緒。

 なら、立場が同じなら友達のいないお前は———“あいつら以下”ではないのか。


八幡「……三浦…」

三浦「?」

八幡「すまん……俺、



 お前の事、人気があるから抱こうとしてた」



 本音が漏れた。

136 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 19:13:58.87 ID:9Jm8k/qF0
良いところですが一旦離れます! ごめんちゃい!
138 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 19:29:23.36 ID:9Jm8k/qF0
ただいま。このくらいなら言わんでもよかったな。

ちょっとCM的に別視点。
139 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 19:35:46.16 ID:9Jm8k/qF0



 あの日以来、私の中で燻っていたモノが燃え盛ってやまない。

 ファーストキスだったということを打ち明けたら、あいつは喜んでくれるだろうか。んな訳ないか。

「すみません、替え玉ください」

 だが、世の男子は女子の処女性を重要視するとも聞いたことがある。

 例えばこのラーメン。

 今、私は替え玉を頼んだ。つまり、この汁は使い古しだ。

 目の前のこの汁と頼んだばかりの新品の汁があったとする。

 誰の目から見ても、新品の汁が飲みたいのは明らかだ。

「はふっ……ずるっ…ずるっ…」

 つまり、男子は少なくとも中古よりは新品の方を求める。そうだ、そうに違いない。



 ふと、視線をあげるとテレビで芸能人がトークバトルをしていた。普段はそんな大衆論議に興味など示さないが、その内容が“ファーストキスの価値”というものだったので、見ざるを得なかった。




 
140 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 19:44:38.20 ID:9Jm8k/qF0

「マツコさんはファーストキスとかどうだったんですか?」

「何、それはこの格好になってからってこと!? それとも、生まれてからってこと!?」

「なぁにをそんな怒ってんですか! ただ聞いただけじゃないですかっ!」

「そういうアンタはどうなのよっ! どうせ白い雲のようにファーストキスを失ったんでしょ!」

「ちょっとそういうのやめてくださいよっ」

「まぁでもそうね。男ってファーストキスより処女の方が好きじゃない?」

「あんたゴールデンww 分かってますかwww」

「いーじゃないっ、あんた何に遠慮してんのよっ」

「も、もういいです、それでマツコさんの処女はいつ奪われたんですか?」

「はぁ~~~?」



 テレビの中では何度も笑いが起きていた。

 だが、私の中ではいらだちが募るばかり。


(早く結論を言えっ!)


 ラーメンをすすりながら、テレビに視線を向けるその様は、おおよそ処女を気にできる立場にはなかったが、それでも私の中に咲いた小さな恋心は平塚静をとことん乙女にしていくようだった。


「とにかくね、世の中のアラサー? 婚活女子? そいつらには言ってやりたいね」

「何をですかマツコさん」




「お前らは売れ残ってんだ。変に処女とかファーストキスとか自分の価値を高めようとしないで、土下座してでも結婚してもらえっ」



142 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 19:48:01.08 ID:9Jm8k/qF0



———バキッ!



 おっと、割りばしが折れてしまった。最近のは脆いんだな。


「おいあれ、片手で割ったぞ」

「……くっ、俺両手でも割れないぞ」

「そりゃそうだろ、これプラスチックの端だぞ?」


 聞こえない。ああ、聞こえない。


 あのテレビ出てる自分の管理もできてない癖に人に文句を言うデブはいつか抹殺するとして、


「土下座か……」


 参考にできることはしておく。それが平塚静の生き方だ。


「ゴムに穴を空けて……いや、なしで良いか」


 この気持ちなんだろう。



 私、とっても乙女っ★




CM「平塚静の夜」 完


145 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 20:03:40.80 ID:9Jm8k/qF0


三浦「人気どういうことだし」


 ゆみこのにらめつける! こうかばつぐんだ!


八幡「………」

三浦「……本気で言ってんの?」


 ここで、三浦に少しでも良い想いをさせてやるなら、「綺麗」「スタイルが良い」「可愛い」“部分”でも興奮したとフォローを入れるべきだろう。

 だが、俺はそんな傷のなめ合いみたいなプレイは望んではいない。


八幡「……ああ、そうだな。あと一つ」

三浦「………」ピクッ


 三浦の目に希望が宿る。

 だが、俺は希望を与えるジャンヌダルクにはなれない。男だしな。



八幡「お前が嫌がってる振りをしてる時の顔、かなり興奮した」



 ——パシンッ!



 ジンジンと右頬に痛みが走る。



三浦「サイッテー」ポロポロ



 怒りに起こした行動だが、心は哀しみで満ちている。


 俺は、そんな三浦優美子を心から愛でたいと思った。



 いそいそと下着を履いて出て行こうとする三浦に俺は語りかける

八幡「……俺、お前と接して、人生で初めて楽しいって思えたよ」ボソリ

三浦「………っ」

 そして、三浦優美子は去った。




 賢者タイムに似た虚無感が、俺を放心状態にさせた。




 続く。
147 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 20:08:15.21 ID:9Jm8k/qF0


八幡の嗜虐レベルが1上がった!

小町との関係が【主従関係】になった!

平塚に【ストーカーの素養】が目覚めた!

三浦との関係が【冷戦状態】になった!



148 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 20:10:48.39 ID:9Jm8k/qF0
次の相手を誰にするか決めるまで少し離れます!

戸塚かなぁとは思ってますが。なので、すぐ始めるかもしれませんし後になるかもしれません!

150 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 20:34:04.94 ID:9Jm8k/qF0


 三浦が帰った日の夜、俺は小町の部屋に訪れていた。


八幡「………」

小町「………」チラッチラッ


 チラチラとこちらを見てくる小町。

 だが、俺は何も答えない。

 小町は椅子に、俺は小町のベッドの上に転んでいる。


八幡「………」スッスッ


 俺は小町の部屋で、三浦の写真を観賞していた。正面のアングルはパンツの向こうに秘部が見え隠れしてエロい。

 横からはめくれ上がったスカートから健康的な太ももがある。テニスをしていただけあって、そこらへんの痩せれば綺麗と思ってる女子とは一線を画すエロさだ。


小町「……ゴ…お兄ちゃんさっきから何見てるの?」


 小町の中で、俺は今逆らってはいけない存在になっているようだ。うんうん、従順なペットっていうのも悪くはないな。


八幡「ん? オナニーシーン」

小町「なっっ!?////」ビクッ


 予想通りのくせに。

 小町が顔をひくつかせながら、こちらに目で抗議してくる。


八幡「安心しろ、お前のやつじゃないから」

小町「えっ……」


 今回の俺の目標、小町に「私のオナニーでオナニーして!」と言わせること。


151 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 20:43:14.28 ID:9Jm8k/qF0


小町「へ、へぇ~、お兄ちゃんって私以外の写真持ってるんだぁ、ポイントひくーい」ムスッ


 あの小町がこんな雌豚のような嫉妬に満ちた表情をするなんて。

 俺の性癖のために少しずつ壊されていく小町を見ていると、俺は彼女を一生かけて面倒見ようとさえ思える。


八幡「ああ、だから気にすんな」


 あくまでそっけなく。小町には興味ないよと言わんばかりに。


小町「ち、ちなみに誰なのかなぁ~。エッチな女優さん?」


 こっちに来て確かめれば良いのに、どこかでまだ自分の写真を見ていると信じたいのだろう。


八幡「ん? 今日来てただろ、あいつの」

小町「ふぇ!?」ガタッ


 驚くことじゃねぇだろ。さっきまで俺と三浦が絡みあってたの見てたくせに。


八幡「なぁ、オナニーしていいか?」


 許可をとるまでもなく、俺は下半身をあらわにする。小町の匂いで俺のエクスカリバーは最強状態だ。


小町「だ、だめだよっ///」


 ブンブンと両手を振って止めてくる小町。その心を問いたいところだが……いま大事なのはそれじゃない。


八幡「そうか、悪かったな」ムクッ


 下半身を露出したまま、俺は自分の部屋へ帰る振りをする。

 小町はしまった、という顔をして慌てて口を開く。


小町「あ、う、ううんっ、ここでしても良いよ!」


 オナニーを自分の部屋で許可する妹なんて、この世界に小町くらいじゃないのか?


八幡「そうか、んじゃ遠慮なく」


 と、俺は下半身に手を当てる。まぁ、本当にする訳じゃないので、どちらかというと左手は添えるだけでスマホを見る方に集中した。


小町「………」


 そして、やはり獲物は何度も罠に引っ掛かる。


152 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 20:49:29.76 ID:9Jm8k/qF0


小町「さ、さっきから見てるのも、三浦って人?」


 オナニー中に話しかけるなんてオナニストの風上にもおけないな。後で手とり足とり教えてやろう……女性のオナニーってどうやるんだ。


八幡「優美子……」ハァハァ


 俺が名前を呼んだ瞬間、小町の表情がこわばった。

 どうやら本当の小町はかなり嫉妬深いらしい。今後の活動のためにも、今ここでお兄ちゃんには逆らえないことを教え込んでおかないと。


小町「やっぱ、ダメっ! 許可できない!」バッ


 予想通りスマホを抑えに来る小町。

 俺は、驚いた振りをして小町に画面が見えるように体勢を変える。


小町「あっ///」




 そう、現在の画面は“小町のオナニーシーン”である。




小町「にゃ、にゃめぇええ!」ガバッ///



 その行動に下心はないのか、と問いただしたいところだが、いましたいのはセックスではない。屈服だ。

 小町が俺に対して完全な敗北を認めること。

 そして、ただ単純な男女愛だけでなく、こういう刺激に対しても快感を覚えることを教え込むこと。


 俺は小町を無視して画面を三浦に変える。


小町「……あ///」


 母親と自分以外の女性の秘部に頬を染める小町。それもそうだろう、優美子の下半身は小町と違って、綺麗に整えられていたからだ。俺はパイパンだと思っていたが。
153 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 20:56:48.54 ID:9Jm8k/qF0


八幡「……んで、どうすれば良いんだ? やめればいいのか?」



 俺は小町の乳首をいじりたい衝動に駆られたが、必死に我慢した。小町は複雑そうな顔で答える。



小町「あの……うーん、と。……この人のでするのはダメ…かなぁ///」エヘヘ



 やはり天使。

 今すぐ抱きしめて、俺の中の子孫繁栄本能をぶちかましてやりたいところだが、それは前述したとおり俺の生き方を否定する行為だ。


 だから俺は、徹底的に小町を苛めぬくのである。



八幡「ふーん、でも俺あと小町の写真しかないんだけど?」



 小町の【自主規制】が映った写真しか、と付け加える。

 小町の顔が嬉しいやら哀しいやら怒ってるやらよく分からん絶妙な表情になる。すごいそそる。



小町「……しかた…ないから…いいよ///」

八幡「あ?」

小町「仕方ないから! 小町の写真でしていいよ!!」ハァハァ///



 どうやら、小町と俺のプレイは相当相性が良いらしい。とことん思い通りに動いてくれる。対極に位置するのがあの忌々しい冷徹女だ。

 嫌なことを思い出した。忘れよう。


八幡「俺、別に仕方なくでやりたくないんだけど?」

小町「あう……」


 ダメだ。あいつのことを思い出すとまた尖ってしまう。

 暴れる俺の怒りを抑えながら、小町に対して口を開く。


八幡「じゃ、帰るわ」


 もちろん帰れないことは分かっている。

 小町が俺を抱きしめて離さなかった。


小町「やだ」


 まったく、可愛い天使さんだこと。
154 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 21:26:02.14 ID:9Jm8k/qF0


八幡「んじゃ、どうしろと」

小町「な、無しで良いじゃん」

八幡「俺そんな妄想力ねーし」


 あるけど、妄想界の総合商社並みにあるけど。


小町「じゃあ……ごにょごにょ///」


 あ、こいつはっきりとごにょごにょって言いやがった。計算して天然になれるタイプだっ。


八幡「はっきり言ってくんねーと」

小町「……使って///」

八幡「え、なんだって?」


小町「小町の写真を使って!」カオマッカ///


八幡「使うって何に?」

小町「あっ/////」


 ほんと、性癖をオナニーで例えるなら、俺が性器で小町が右手だわ。俺の気持ち良くなる部分を本能的に分かってやがる。


八幡「はっきり言ってくれないと、分からない」

小町「あ、あうぅ……///」モジモジ


 こら、俺の上でモジモジするな。おっぱいの感触で射精してしまうだろ。


小町「ひ、ひとりえ「オナニー」

小町「ふぇ!?」

八幡「それオナニーって言うんだぞ。良かったな、また一つ知識を得て」

小町「小町には必要ない知識だよっ///」


 ほんと、面白い。


155 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 21:35:58.15 ID:9Jm8k/qF0

八幡「ほら、もう一回ちゃんと言ってくれ」

小町「……わ、私の写真で……おな…して…///」モゴモゴ


 口ごもって言う方が可愛いってこと分かってんのかな。マジで魔性だわ。


八幡「私の写真ってどれのことだ。プリクラか?」

小町「違うよっ、小町のおな……っ///」ハッ


 この物語で訓練された兵士たちには分かってるかもしれないが、調教には飴と鞭が必要である。

 だが、俺の目的は調教ではなく征服。敵に与える飴などないのである。

 もちろん、必要投資と言うモノはある。それが今から言う“ご褒美”と言う名の幻想だ。


八幡「もし小町がちゃんと言えたら……今日も愛してやる」


 首筋を舐めるように呟く。小町は「ふぁぁ///」と気持ちよさそうな声をあげた。こいつ全身性感帯か?


小町「………」モジモジ///


 俺は人が葛藤している時間が一番好きだ。

 葛藤すると言うのは自分との妥協点を模索する行為、つまり100%以下にする行為なのだ。

 例えば、試算。

 自分がこれだけの行動をとればこれだけの見返りがあるという計算。

 これには100%以上がある。

 もちろん、葛藤より試算の方が安定して狙い通りの結果を得られるだろう。なぜなら試算の多くは希望的観測が混ざっており、ただの夢なのである。(これは思春期の恋愛話であり、社会人としての仕事上のそれの話ではない)


 葛藤は人間の本心しかない。綺麗汚いは別にしても、丸裸の感情だ。


 だから俺は、眉をひそめてブツブツと葛藤している小町を見て、



 フル勃起するのである。まる。



 
156 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 21:46:04.06 ID:9Jm8k/qF0


 翌日、気まずそうにこちらをチラチラとみてくる三浦を無視して一日を過ごすと、放課後にまたもや平塚先生に呼びだされる。


平塚「八幡、今日も部活に行くぞ」


 いつの間に名前呼びを許可したんですかねぇ。


八幡「性の部活動ですか?」

平塚「……は、はぁ!? ななな、何言ってるんだお前っ」アセアセ


 ……ん?

 なんだこの違和感。

 今までなら顔を赤くして慌ててる所なのに、なんでただ単に慌ててるんだ。

 まぁ、この人も大人だし、色んな経験を積んできたんだろう。

 俺はこんな重要な出来事を歯牙にもかけず、これからの事ばかり考えてたのである。



 いつだってあいつのことを考えると行動を間違えるのだ。



平塚「雪ノ下ーいるかー」

雪乃「先生、入る前にノックをしてくださ———」



 目が合う。

 雪ノ下雪乃と目が合うと、今までに経験したことのない感情が押し寄せてくる。



八幡「………」

雪乃「誰かと思えば、負け犬じゃない」



 ぐっ……こいつ…。



157 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 21:47:19.67 ID:9Jm8k/qF0

平塚「負け犬?」

八幡「こっちの話です」

雪乃「分かりました。彼の入部を認めます」

八幡「はぁ? 誰がいつ———」



 俺は言葉を失った。

 目の前の人生最大の壁、敵、悪魔が笑っていたからではない。

 教室に入る爽やかな風が彼女の髪をかきわけ、隙間からのぞく澄んだ瞳が俺の心に突き刺さったからではない。



 雪ノ下雪乃が笑っていたという事実。



 このタイミングで笑うと言うことは、負け犬だと罵った上で入部を認めると言うことは、




 ———俺に対して勝利宣言をしたということである。




158 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 22:02:13.87 ID:9Jm8k/qF0
八幡「……よろしくお願いします」


 認めよう。

 俺は事実を事実として客観的にとらえられる人間だ。

 お前が俺の中に巣食う“本質”を見抜き、把握し、鮮やかに一蹴した。


 俺はお前に負けたんだ雪ノ下雪乃。


雪乃「あら、死んだ魚のような目をしていると思っていたのだけれど、どうやら“本当に死んだ”みたいね」


 ぐっ……。

 完全降伏状態の俺をなおも殺しにかかるか雪ノ下雪乃。

 だが、今は受け入れよう。

 その全てを。

 だが、それは俺の中で一切消化しない。

 心の中に溜めこんで溜めこんで、いつかそっくりそのまま返してやる。



八幡「それで、これは何の部活なんだ?」

雪乃「あなたが一生人に与えないことをする部活よ」



 やはり、間違ってもこの女と心を通わせることはない。



159 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 22:19:37.45 ID:9Jm8k/qF0




雪乃「ご奉仕部よ」




161 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 22:23:22.82 ID:9Jm8k/qF0

八幡「ご奉仕部……って、なんじゃそりゃ」

雪乃「あら、どうせあなたがいくら考えたって世の中のシステムのことなんて何一つ分からないんだからさっさと聞けばいいじゃい」

八幡「ぐっ……お前…」

平塚(なんかちょっと仲良いのがムカつくが)

平塚「それじゃあ、私は行くから後は頼むぞ」

雪乃「はい」

八幡「………」



 ご奉仕部ってなんだ……。

 ボランティア部とは違うのか……?


 想像してみる。


 ご奉仕という言葉を言うのは、たった一つ。

 メイドが「ご奉仕するニャン♪」と言うときである。



八幡「まさか、お前……学校にメイド喫茶を…?」

雪乃「あなた……101回死んで100回生まれ変わった方が良いんじゃないかしら」

八幡「おい、それ俺死んでるじゃねぇか」

雪乃「あら、算数くらいはできるのね」

八幡「………」
162 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 22:34:00.04 ID:9Jm8k/qF0

八幡「ご奉仕なんてメイドくらいしかいわねーだろ。しかも二次元に限る」

雪乃「二次元に限るのはあなたの変態的行動だけよ」

八幡「くそっ、否定できない」

雪乃「否定しなさいよ、名前を言ってはいけないあの人より危険よ」

八幡「……エリートってことか」

雪乃「隔離するしかないってことよ」

八幡「………」

雪乃「ご奉仕部はご奉仕部よ。それ以外に何があるの」

八幡「ここ以外にご奉仕部なんてねーよ」

雪乃「あら、あなた世界全国の部活動を調べて回ったのかしら」

八幡「常識的に考えれば分かるだろうが……」

雪乃「……あなたに常識を語られたくないのだけど」

八幡「………」


 あれ、何これ。

 レベル1の状態で魔王と戦わされて、しかも毎ターンザオリクかけられるような……。


雪乃「不毛な会話を続ける意味はないから説明するわ」

八幡「さっさとしとけよ」

雪乃「ご奉仕部とは……」
163 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 22:35:44.11 ID:9Jm8k/qF0





雪乃「ご奉仕する部活よ」キリッ

八幡「だから分かんねーよバカ」パシンッ





164 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 22:45:04.46 ID:9Jm8k/qF0


八幡「あ……」


 しまった。

 頭を叩いてしまった。

 呆気にとられた雪ノ下がこちらを見つめてくる。


八幡「……そ、その…」


 何ていう。

 謝罪か。土下座か。今すぐ逃げるか。



 だが、雪ノ下の反応はやはり俺の理解の枠組みを超えていた。




雪乃「………///」ポーッ




 背中の穴と言う穴から汗がわき出す。

 やばいやばいやばい、なんだこれ、なんだこれ、何が起きたんだ!?


 俺の中の危険警報がどんどん大きくなっていく。



八幡「ゆ、雪ノ下……?」ドキドキドキ

雪乃「………」
165 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 22:46:31.53 ID:9Jm8k/qF0


雪乃「ふふ……ふふふ、よくぞ見抜いたわね比企谷君」

八幡「いや、その……な、何も見抜いて———」




雪乃「私はドMよ」




八幡「」


 悪夢だった。


167 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 22:47:04.14 ID:9Jm8k/qF0
ちょっと一時間ほど離れます!では!
171 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 23:38:17.33 ID:9Jm8k/qF0



 例えよう。


 俺の趣味が狩りだっとする。


 長年培った経験と知識で、今回の獲物は虎を狩ることにした。


 予約の日は三日後の朝だ。


 俺は今まで訓練した射撃技術、気配を悟られないための息遣い、生き物殺すための度胸、その全てにおいて条件を満たしていると自負していた。


 毎晩想像した。


 虎は素早い。正面から撃っても気配を悟られたら避けられるかもしれない。

 やはり側面を狙うべきだ。

 だが、やはり狩りを楽しむなら頭を狙いたい。


 そうこう考えてるうちにあっという間に狩りの朝だ。


 うん、天候にも恵まれ、絶好の狩り日和だ。


 俺は、自前の猟銃を持って、車へと乗り込む。


 すると、今回のツアーを仕切ってくれている男性が俺を呼びとめる。


「車なんて必要ないよ。はい」


 目の前にいたのは虎。



 殺されたがりの、虎。




 
173 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 23:47:00.40 ID:9Jm8k/qF0



雪乃「ご奉仕部とは、人が嫌がるような仕事を無理やりさせられる部活よ」



八幡「うっせーブス」バシッ

雪乃「んっ/// な、なかなかやるじゃない///」ハァハァ


 男子生徒が夢にまで見た雪ノ下雪乃のエロい顔。

 それを見ている俺は全く持って不幸だった。


 俺は、目の前で腰を振っている雌豚に餌を与えることに喜びを感じたりはしない。


八幡「まぁいいや。それで、今までに受けた依頼は?」

雪乃「掃除当番の代わりだったり、書類作成だったり、トイレ掃除だったり、不良の呼び出しを代わりに行くことだったりいろいろよ」

八幡「おまっ、最後のだけ次元がちげーだろ」

雪乃「そう? 彼らに乱暴されるとドキドキしたわ」ハァハァ///

八幡(こいつ……生粋のMだ)

雪乃「結局、私が怖気づいて黙っていると、何故か皆去っていったわ」

八幡「そりゃ、普段のお前は怒ってるようで怖いからな」

雪乃「もっと罵って……」ハァハァ///

八幡「断る!!」

雪乃「ぁあん/// ご放置部///」

八幡(お、俺はこんな奴に脅威を感じたり、復讐を誓ったりしていたのかぁああ!)


 結局、俺は自分の造った雪乃像に敗れ、本物の雪乃に粉々にされたのである。



174 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 23:54:59.02 ID:9Jm8k/qF0


八幡「………」カシャカシャ



雪乃「はぁはぁ……さ、流石は変態会の王子様ね。こんな教室でパンツをずらさせた上に性器を写真に残すなんて」ハァハァ///



八幡「は? 別にお前の写真なんてすぐ消すつーの」バシッ

雪乃「ひぐっ/// ふ、太もも!?///」ビクンッ

八幡(悔しいが小町とはまた別の意味で相性が良い。こいつの喜ぶことを俺は分かってしまう……)

八幡「後ろを向いて壁に両手をあてろ」

雪乃「……は、はぃ…///」スッ

雪乃(も、もしかしてこんな所で私は犯されちゃうのかしら。生で彼の白濁を受け止めて、受精に喜びを感じちゃうのかしらっ///)ハァハァ

八幡「スカートをたくしあげて、ケツをこっちに向けろ」

雪乃「んっ///」クイッ///

八幡「………」カシャカシャ

八幡(おいおい、垂れてきてるじゃねぇか)

雪乃「ど……うしたの/// ま……た、放置プレイなのかしら…///」ハァハァ

八幡「だってさぁ、




 さっきから沢山の男がお前のケツ見て抜いてるぞ?」




雪乃「!?」ビクンッ///


 これで分かる。

 雪ノ下雪乃が生粋のマゾヒストなのかどうか。

 もしここで「いやぁ!!」とスカートを隠したのなら、こいつは偽マゾヒストだ。羞恥に快感を覚えないクズだ。

 俺の予想では本物のマゾヒストなら、何人いるのか、これ以上何もしないのかなど先を期待させるような言葉を吐くはずだ。



 しかし、いつだって俺の予想は間違うのである。



 
175 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/23(木) 23:55:44.96 ID:9Jm8k/qF0


雪乃「おしっこ……出そうだわ」ハァハァ///

八幡「」




176 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/24(金) 00:03:51.16 ID:TjJBslUs0



 ああ、こいつは本物だ。



 俺は確信する。

 雪ノ下雪乃は生粋のマゾだ。

 将来確実にAV女優になるくらいの変態だ。



 沢山の男が自分のケツを見ているのに、小便するだと!? まぁ実際にはいないんだけど。



 小学生のころに無理やり性器を見られたことのある俺ですら引くわ。いやマジで。


雪乃「い、良いかしら」ハァハァ///

八幡「………」


 考えろ八幡。

 こいつが生粋のマゾヒストであることは分かった。



 じゃあ俺は?



 俺は自分でドSだと思ったことはないし、今までやってきたプレイもサドとは違う。

 だが、ここであいつに対して引いたままというのは、いささか失礼な気がする。

 俺は俺のことを変態だと自覚しているし、これからもその道を歩み続ける。小町のような理解者を得たし、責め手はこれからも道具を見つけて行くだろう。


 しかし、雪ノ下雪乃にそれはいない。


 彼女のクールさが、神々しさが、天から授かった才能がそれを引き離す。

 とても寂しい奴だ、俺は自分事を棚に上げてそう思った。

 だから、正々堂々真っすぐと、雪ノ下雪乃と戦うことにする。



八幡「さっさとしろよ、途中で飲むからな」

雪乃「!!」ゾクゾクゾクゥ///



 たらり。

 黄色い液体が雪ノ下の白い太ももを伝って流れ始めた。



177 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/24(金) 00:21:05.62 ID:TjJBslUs0


 普通、SMプレイと言えばおしっこをかける側がSでかけられる側がMであると思うだろう。


 だが考えて欲しい。自分がその立場だったら?


 飲む方は飲み物が汚水であると言うこと以外何も変わらない。

 飲ませる方は下半身を丸出しにして、自分の汚水を見られ、飲まれる。


 飲む方が自発的な場合、往々にして立場は逆転するのである。



雪乃「あふぅ……ん///」

八幡「………」



 なんて、飲むはずがないだろう。俺にそういう趣味はない。

 じんわり液体が床に広がっていく。雪ノ下の匂いが広がり、自然と下半身が膨らむ。

 俺は雪ノ下の髪の毛を乱暴に掴むと、こちらへ引き寄せた。



雪乃「んっ///」

八幡「……教室で小便するなんて、きたねー女」ボソッ


 最後に左耳を強めに噛む。

 雪ノ下が後ろ手に俺の服を掴んだ。もしかしてこいつイッてねーか?


八幡「それそのまま放置な」

雪乃「舐めろとは言わないのね」ハァハァ///

八幡「いつでもお前の欲しいモノが貰えると思うな」

雪乃「はぁはぁ……/// あなた、やっぱり変態ね……///」


 それは、おそらく俺が雪ノ下の性器を目の前にしながら何もしないことを指しているんだろう。

 確かにお前は魅力的な肉体を持っている。顔も最高クラスだし、スタイルも良い。胸が小ぶりなのは残念だが、その分揉みがいのありそうな尻でカバーしている。

 だが、俺は絶対にこいつに手を出したりしない。今は。

 雪ノ下雪乃の身体に触れる時、



 それは、雪ノ下雪乃が比企谷八幡に心から屈服した時である。



 
178 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/24(金) 00:29:07.45 ID:TjJBslUs0
このまま行くとまずい方向になるので、最近妹の様子がちょっとおかしいんだがを見て落ち着いてきます。

では!
181 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/24(金) 01:09:58.51 ID:TjJBslUs0

 その日、雪ノ下雪乃と通じ合ったようで、すれ違った日。

 帰り道、駅前で由比ヶ浜結衣が俺に声をかけて来た。



結衣「やっはろー、ヒッキー何してんの?」

八幡「なんだビッチか……」

結衣「ビッチ言うなしっ」



 やっぱり由比ヶ浜の反応は面白くない。

 反射のような単純なツッコミ。

 自分勝手な解釈。


 何一つとして魅力を感じない。ああ感じないな。



結衣「ふぇ!? ちょ、ちょっとヒッキー!? 近くない!?」



 あ、しまった。つい小町との距離になってしまった。



八幡「あ、わりぃ間違えた」

結衣「……あ…」シュン…



 ほらな。自分が寂しいからって露骨に寂しそうな顔をする。

 俺はそんな単純な思考で生きてこられたことに対して腹が立つ。



八幡「それじゃ、俺行くわ」

結衣「あ、……う、うん…」


 それでも、


 それでも今の人間関係の中で、予測通りの人間、由比ヶ浜結衣という存在はとても安心できた。




 “自分の予測は間違えること”を知っている癖に。




 
182 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/24(金) 01:45:02.07 ID:TjJBslUs0


 一方、葉山隼人は自宅にいた。


葉山「………」



 茫然と、ただ壁を見つめている。

 何も考えず、ただ、ただ壁を見つめている。




 無数に張られた比企谷八幡の写真を、見つめている。





葉山「八幡……お前の尻…最高……」ハァハァ…





 
183 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/24(金) 01:49:22.91 ID:TjJBslUs0


 prrrr



葉山「ちっ、ビッチからか」

葉山『ん? どうした優美子』

三浦『隼人ぉ……』

葉山(ちっ、こいつ本当にベタベタしやがって)

葉山『ん、なんか元気ないね。心配だな』

三浦『……ぐすっ、聞いて…くれる?』

葉山(あー、女のクソみてーな相談受けたくねーなー)

葉山『ああ、言ってみな、優美子(爽やかボイス)』

三浦『ヒキオが頭から離れないのぉ……(甘い声)』

葉山『』ピッ


葉山「………」ガタガタ


prrrrrr


葉山「………」ガタガタ


prrrrrr


葉山「な、なんてこった(放心)」

184 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/24(金) 01:55:23.86 ID:TjJBslUs0


葉山『ひ、ヒキタニ君に何かさせられたのか?』

三浦『うん……パンツ脱がされた(すっとぼけ)』

葉山『なっ!? 羨ましい!!』

三浦『ふぇ!?』

葉山『しまった!』

三浦『そ、そんな……隼人のお願いならあーし…』

葉山『………』

三浦『ねぇ聞いてる?』

葉山『ああ、それで、無理やり脱がされたのか?』

葉山(もし同意の元だったら、優美子、お前でも……)ギリッ



三浦『本当は私から脱いだし……』



葉山「」バキッ



葉山「心の底から……羨ましい…」ガクッ

186 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/24(金) 02:08:34.21 ID:TjJBslUs0
翌日。


葉山(だが、きっかけはできた。これで八幡に話しかけられる……)

八幡「………」スタスタスタ

戸部「おっ、変態くーん」

八幡「………」ジトッ

戸部「ひゅーこえー」

大和「あいつ……前より迫力あるな」

葉山「………」

戸部「隼人君どしたん?」




葉山「ちょっと屋上来いよ、ヒキタニ」ゴゴゴゴゴ




海老名「ぶはっ!」

三浦「ちょっと!?」

海老名「は、はは、ハヤ×ハチが、ハヤハチが現実に……」アハ、アハハ…

三浦「………」チラッ

三浦(ヒキオ……あんたの思い通りにはいかないんだからね…)モジモジ




屋上



葉山「ヒキタニ! 俺の尻を思い切り打ってくれ!」プリンッ

八幡「死ねっ!」ドカッ

葉山「ぐはっ! 蹴りとは分かっている!!」ドサッ


187 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/24(金) 02:11:49.45 ID:TjJBslUs0
八幡「お前……本当に葉山隼人か?」

葉山「……くっ、君のイメージを崩してしまったならすまない、裸で詫びよう」

八幡「キモい、やめろ」

葉山「その蔑んだ目! 最高だ!!」ハァハァ

八幡(雪ノ下雪乃とは種類の違うマゾヒスト……)

葉山「……三浦」

八幡「?」

葉山「三浦優美子の下半身を見たそうだね」

八幡「あ? どうした、お前も見たかったのか?」

葉山「ふざけるな!」

八幡「っ!」ビクッ

八幡(くそっ、どうしてもこいつには本能的にビビってしまう……)




葉山「僕は見せたかったんだ! 間違えないでくれ!」




八幡「」
188 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/24(金) 02:25:22.72 ID:TjJBslUs0
葉山「ヒキタニ……いや、八幡」

八幡「勝手に名前を呼ぶな」

葉山「僕は今まで君が想像もしないような恵まれた生き方をしてきた!」

八幡「あそ、興味ねーよ」

葉山「だが、そのどれもが僕の上辺だけの部分で得ることができた! 一度だって満たされたことがないんだ!」

八幡「ふーん、おめでとさん」クルッ

葉山「君は“他人を満たすことができる”」

八幡「誤解だ」スタスタスタ

八幡(本当に誤解だ。俺は自分を満たすことしか考えてねーよ)



葉山「僕は、君に出会うために生まれて来たのかもしれない」



八幡「俺はお前と一生話さないために生まれて来たのかもな」


 がちゃり。


八幡「うぉおおおお! こえぇえええええ!!」ダダダダッ

八幡(なんだあいつ!? ホモか!? ホモだったのか?!)ダダダッ

三浦「………」キョロキョロ

八幡「げっ、三浦?」ダダダッ

三浦「へっ!?」



———どんっ!



八幡「てて……」

三浦「………」モジモジ///
189 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/24(金) 02:37:57.12 ID:TjJBslUs0

八幡「わりぃ、ちょっとスカート入るぞ」ガバッ

三浦「ちょっ、何するしてるし!?///」

三浦(人のスカートの中に……ぁっ、当たってるし///)モジモジ




葉山「……優美子」ハァハァ




三浦「隼人? どうしたし?」

葉山「ヒキタニ君どこへいったか分かるかな?」

三浦「……し、しらねーし///」プイッ

葉山「……そうか」チラッ

葉山(君は今……僕を必要としていないようだね…)

葉山「ちょっとトイレに……」

葉山(でもいつか、君は僕を求める)




葉山「だって僕は……君のことを愛してるからね」ボソッ




八幡(あー聞こえない聞こえないクンカクンカスーハースーハー)

三浦「んっ///」ビクッ

三浦(ひ、ヒキオっ///)
190 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/24(金) 02:48:42.59 ID:TjJBslUs0
戸塚「あ、三浦さん、……って、あ、頭突っ込まれてるよ!?」ビクッ

三浦「あ」

八幡「こいつミニスカートだった……」



戸塚「あれ? 比企谷くん!?」ビクッ



八幡「と、戸塚!!」フガフガ

三浦「んっ///」ビクビク

八幡(俺の絶対領域に変態行為を見られた!!)バッ



戸塚「あ……あのね……ごめんっ!」ダッ



八幡「……さらば、俺のベストプレイス……」

三浦「つーか、あーしのこと無視すんの?」

八幡「………」

三浦「来いっ」グイッ

八幡「………」ズルズル
191 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/24(金) 03:19:07.85 ID:TjJBslUs0


 最近、あまりに人間関係がごちゃごちゃしていて目的を見失いがちだが、俺の目的は『嗜虐心を満たす』ということである。

 嗜虐という言葉通りではないが、俺は順調に様々な人間を屈服させ、恥辱と屈辱の目を見て来た。



 それのツケが回ってきたということだろうか。


三浦「……んっ、ちゅばっ…あむっ」ジュプジュプ

八幡「………っ」クッ…


 屈辱と恥辱にまみれているのは俺の方だ。

 下半身を露出し、それを良いように弄ばれている。


三浦「もう絶対に許してやんねーし」シュシュッ

八幡「お、おい、それ以上は出る……」クッ

三浦「ふーん」パッ

八幡「………?」

三浦「じゃあな、ヒキオ」テクテクテク

八幡「……何だったんだ…」


 それから毎日、三浦は昼休みに俺を拉致した。

 その度に射精寸前で三浦は帰っていく。

 俺の身体は三浦に管理されていた。


192 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/24(金) 03:28:26.75 ID:TjJBslUs0

小町「ねぇお兄ちゃん、何で最近してくれないの?」

八幡「……してるじゃねぇか」

小町「これじゃあオナニーと変わんないよ!」

八幡「小町もだいぶ変態的になってきたな」

小町「だ、誰のせいだよゴミィちゃん! ポイントマイナス!」プクーッ

八幡「総ポイントは?」

小町「……無限大だよ///」モジモジ

八幡「はいはい」ナデナデ

八幡(そろそろ一段階上げるか)




 俺は、三浦に弄られるようになってから、まだ一度も射精をしていない。

 それは、“あの程度”の人間に負けないという決意の現れであり、俺自身が楽しんでいるということもあった。


 初めてできた“敵”。


 俺は三浦優美子を屈服させるために、自身の快楽を我慢する。三浦は俺を屈服させるために、自身の快楽を我慢する。

 

 お互いがお互いの事想い、我慢し、耐える。



 これが比企谷八幡の求める、理想形の一つだった。

193 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/24(金) 03:51:25.98 ID:TjJBslUs0
あかん。ここからはどうしても18禁を軽く超えるレベルに発展してしまう。

と言う訳で、一旦置いて戸塚祭りへ移動します。
194 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/24(金) 03:58:46.70 ID:TjJBslUs0

 昼休みに敵と戦って、放課後は変態の相手。

 いつの間にか比企谷八幡の学生生活は三流ラノベに負けないそれになってしまった。


雪乃「……ふ、んっ/// そ、そうよっ/// 悪くないわっ///」ビクビク


 一応、依頼人が来た時のために、見た目上問題がある行為は行っていない。

 今日は雪ノ下が買ってきた震えるおもちゃを全身の感覚が鋭敏な場所へセロテープで張り付けただけだ。

 もちろん、張り付けるのも俺の役目だったが、まさかノーブラで登校してたとは驚きだ。ノーパンの日もあるらしい。


八幡「………」ハァ…


 こいつはどんなタイミングだろうと喜ぶ。

 俺はこいつが喜ばないタイミングを探すが、探せば探すほど向こうにとっては予想外の刺激となり喜ばれる。

 八方ふさがりとはまさにこのことだった。



雪乃「ね、ねぇ比企谷様……キスをしましょう」ハァハァ



 俺はよく雪ノ下にキスをせがまれる。



八幡「ぜってー嫌だ」



 世の男子全員から批判を浴びると思うが、俺は一度も雪ノ下とキスをしていない。

 なぜなら、雪ノ下の快楽は“自分を汚す”ことであり、俺とキスをしたいというこはつまりそういうことなのだ。



雪乃「はぁはぁ……んっ///」ビクッ



 くそっ、どんなタイミングならこいつを嫌がらせることができるんだよ。

 そんな健全な学生生活とは正反対の思考をしていると、



———ガラッ!



 俺が参加して、初めての依頼人がやってきた。



戸塚「えへへ……ここがご奉仕部ですか?」ニコッ



 俺のベストプレイスが、自らやってきたのだ。
195 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/24(金) 04:04:34.07 ID:TjJBslUs0
ちょっと過激になり過ぎた展開を抑えるために、マケン姫とのうりんを見てきます!

後、息抜きに似たようなss書いてきます! では!
203 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/24(金) 14:26:59.86 ID:TjJBslUs0
それじゃあ、


☆——————☆


ここより、過激な描写を含む場合があります。

健全なss読者はそっと画面を小さくして、ばれないように見ましょう。



☆——————☆


204 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/24(金) 14:33:51.32 ID:TjJBslUs0


 戸塚彩加。

 俺が嗜虐心に目覚める以前、たまに話しかけてくる天使のような存在だった。

 クラスでは目立たない方だったので、その容姿の完璧さはあまり知られていない。

 だが、彼の真骨頂はその女性のような柔らかい雰囲気にあり、俺は彼を眺めては「女の子だったら良いのに」と欲情していたのである。



戸塚「………」ドキドキドキ



 その戸塚彩加が、天使が目の前にいるのである。

 俺はそっとスイッチを押した。


 ——ぶぶぶ。


 携帯のバイブレーションに似た音が微かに聞こえた。


雪乃「んっ///」モジッ


 雪ノ下は両目をギュッとつぶって、スカートを手で押さえた。

 そうだ、俺はこれが見たかったのだ。

 やっぱり戸塚は俺の天使だ。心からそう思います。


戸塚「ど、どうしたの?」オロオロ


 状況が掴めず慌てる戸塚。そりゃあそうだろう。

 どこの女子高生が放課後、部活動中にバイブレーションを身体のいたるところに仕込んでるっていうんだ。


八幡「あー……気にしなくていいぞ。それより、依頼か?」


 天使の依頼ってどんなのだろう。

 トイレに一人で行けないとかかな。よし、俺がちゃんとついていってズボンを下ろしてやろう……って、何でここで葉山を思い出すんだくそっ……。
205 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/24(金) 14:38:28.77 ID:TjJBslUs0


戸塚「あ、うんっ、お願いしたいことがあって!」


 戸塚がジッと俺の方を見つめてくる。

 なんでこいつデフォで上目づかいなの。男を誘うために生まれて来たの?


八幡「雪ノ下、お前部長だろ、しっかりしろよ」


 と、スイッチを再び起動する。しかも今度は威力をマックスで。


雪乃「……ふぐぅ…ん///」ビクンビクン


 必死に声を殺すも、漏れてしまう雪ノ下に俺はすごく欲情した。やっぱり葛藤って良い。


戸塚「あ、あの、やっぱり雪ノ下さん体調悪そうだし、今日は……」

雪乃「いいえ、大丈夫よ」キリッ

八幡(こいつすげーな。今もバイブ動いてんだぞ……)


 雪ノ下の精神力に感動しつつも、戸塚の依頼も気になる。

 俺は、戸塚をジッと見つめると、彼は恥ずかしそうに、


戸塚「そ、そんな見つめられたら恥ずかしいよ///」テレテレ


 なにこの天使。抱きしめて良いの?


雪乃「……もっと…」ハァハァ


 なにこの堕天使。欲情してんの?


212 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 02:11:34.11 ID:hlE7Nyyt0

 このスレは新ジャンル【葛藤萌え】です。【葛藤プレイ】でもあります。

 これからも様々な人間の葛藤に興奮していきましょう。


 そして、これから先はエロしかありません。


 エロが苦手な方は、目をつぶってスクロールしましょう。
214 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 02:18:42.85 ID:hlE7Nyyt0

 ここで、もう少し戸塚について話しておく。

 そもそも、戸塚彩加はいわゆる美少年であることは周知の事実だが、実はテニス部員なのである。

 テニスと言えば、さわやかなイメージとは対照的に男子テニスは力と力のぶつかり合い。

 つまり、戸塚は相手をぶっ飛ばすくらいの気持ちを持ってスポーツしているのである。


 俺はいつも想像していた。


 あの気弱そうな戸塚が、虫を殺すのも躊躇いそうな戸塚が、狡猾に残虐に非道に相手を打ち負かそうとしている様を。


戸塚「どうしたの比企谷くん?」

雪乃「そうよ、さっきからなんでスイッチを押さないのよ。あなたの指は何のためについてるの?」

八幡「あ、ああ、すまん」ポチッ

雪乃「んっ(はぁと)///」

戸塚「えっ///」ドキッ

八幡「お前……もう隠す気ねーだろ」

雪乃「そ、それで戸塚君。依頼は何かしら」

戸塚「あ、あのね……平塚先生にここはご奉仕部だって聞いて、嫌がる仕事を引き受けてくれるって聞いて……その…」モジモジ///


 うわぁ、モジモジ戸塚なんて天使が機関銃持ってるようなもんだぞ。もはや兵器だ兵器。


 なんて、考えていると、戸塚彩加天使は機関銃どころか超電磁砲をぶちかますのである。


 
215 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 02:19:11.00 ID:hlE7Nyyt0




戸塚「僕の童貞を奪って欲しいんだ!!」ハァハァ///




216 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 02:25:22.98 ID:hlE7Nyyt0


 ニュートンはリンゴの落ちる様からヒントを得て万有引力の法則を考えたらしい。

 それは、本当に何気ない日常のワンシーン。

 つまり、人は誰でもニュートンになれる可能性を持っていると言うことである。



 それで、えーっと、何の話だっけ?



雪乃「私に童貞を奪って欲しいと言う訳?」ジトーッ

戸塚「えぇ!? ゆゆ、雪ノ下さんが奪ってくれるのっ!?」カァ///

雪乃「それは不可能ね。私は誰かに頼まれて股を開くほど安くないの」



 嘘つけ。無理やりじゃないのが嫌なだけだろ。

 下半身洪水女は放っておくとして、俺は戸塚の言葉の本意を探る。



八幡「えっと、戸塚が言ってるのは、セックスがしたいということか?」

戸塚「う……うん///」コクリ

雪乃「学校でセックスがしたいなんてあなた正気?」ジトーッ

八幡「お前が言うなし」ポチッ

雪乃「ぁんっ///」ビクッ

戸塚「ひっ!?」ビクッ

八幡「それで、一応念のために聞くが、


 女とセックスがしたいんだよな?」


戸塚「あ、当たり前だよぉっ」

八幡「そ、そうか、すまん」

雪乃「何? あなたそういう趣味があったの? こうふ……軽蔑するわ」

八幡(興奮するわって言いかけただろお前……)
217 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 02:33:49.63 ID:hlE7Nyyt0


 俺は動揺していた。


 妹と一線を越え、トップカーストの女王にフェラされ、トップカーストの王様に告白され、学年一の美少女と変態行為をした。比企谷八幡という人間が全く持ってまともな人生を歩んでいないことは分かる。


 だが、戸塚彩加は違うはずだ。

 少なくとも他人とセックスの話をしないし、ましてや童貞を奪ってなんて言わないはずだ。


戸塚「僕は、早く女の人のあそこを貫きたいんだっ」ハァハァ///


 悪夢だ。


雪乃「………」ドキドキ

雪乃(今の言い方ならあげてもいいかも……)


 今の言い方ならセックスもやぶさかじゃないとか思ってんだろうなこの女。


八幡「戸塚は誰か好きな奴がいるのか?」

戸塚「………」フルフル

八幡「あ、あのな、俺が言うのもなんだけど、そういうのは好きな奴とだな……」

戸塚「でも僕は、僕はもう我慢できないんだよ比企谷君!」ハァハァ

八幡「お、おう……」


 負けた。

 戸塚彩加に勢いで負けた。


雪乃「……な、なら——」


 立候補しそうになっている雪ノ下を制止し、俺は考えを巡らせる。

 戸塚彩加の願いを叶えるのは簡単だ。雪ノ下かビッチをぶつければいい。


 だが、それでこの部活は良いのか?


 相手が欲しがるものをただ与えて、それで終わりなのか?

 なぜか納得がいかなかった。


 ご奉仕部。


 無理やり入部させられたこの部活に、俺は何か意味を見出そうとしてるのだろうか。

 
218 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 02:36:33.47 ID:hlE7Nyyt0

 その日は、考えておくと無理やり納得をさせて話を終わらせた。

 雪ノ下は私が解決するわ、とどう考えても実力行使だろって顔してたので、


八幡「もし、お前がセックスしたら俺が考えている最高のプレイは墓場まで持っていくからな」


 と、言うととても嬉しそうな顔で、


雪乃「仕方ないからノーパンで待っててあげるわよっ///」


 と意味のわからんツンデレで返されたので、無視しておいた。



 そして、帰り道。



 またしてもややこしい人物と出会うのである。


 
219 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 02:40:28.81 ID:hlE7Nyyt0


平塚「は、八幡っ」


 よし、無視だ。

 アラサーの癖に森ガールのようなゆるふわ系の服を着たサイコパスの相手なんかしてられるか。


 俺は目を合わせないように下を向きながら通り過ぎようとしたが、腕を掴まれ、


平塚「さっ、行こっ☆」


 と、目から星と言うか妖怪でも飛び出しそうなウィンクを食らわされたので、俺はもうこれは逃げられないと悟るのである。



 そして、着いたのが、


八幡「ここどこですか?」

平塚「私のうちだ」

八幡「」


 全国の警察様、拉致監禁されそうです助けてください。


220 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 02:49:48.65 ID:hlE7Nyyt0


平塚「どうした? 遠慮するな」


 いや、遠慮と言うか恐怖で微動だにできないだけなんですが。……なんて言えない。


八幡「そ、その格好どうしたんですか?」


 少しでも話題をそらしてここから立ち去りたい俺は、最も触れてはいけない部分に触れてしまった。


平塚「ん? いまどきの高校生はこういうのが好きなんだろう?」

八幡「な、何で高校生の好みに合わせる必要があるんだ、このバ———」



 ぞくり。


 全身が命の危険を悟り、逃げろと命令する。

 だが、扉を開くのに数秒、あの化物が飛びかかってくる方が早いのである。



平塚「さぁ、奥へどうぞ」



 どくんどくん。

 心臓が逃げろと太鼓を鳴らす。

 靴を脱いだらおしまいだ。

 エヴァ初号機だってこいつにだけはATフィールド全開だろう。


 いや、ここで誤解は解いておくべきだが、平塚静のゆるふわファッションは意外にも似合っている。

 実際、ナチュラルメイクの彼女は美人だし可愛い。

 それでも俺が彼女にちかづくことを躊躇う理由は、その右手で持っている薬局の袋だった。


 四角くて、中身が視えないように包装されてて、歩くたびにカシャカシャ言うそれ。


 戸塚よ。お前と気が合う人物がここいるぞ。


平塚「は・い・れ」ニコッ


 俺は睨まれた蛙のようにすぐさま靴を脱いだのだった。
221 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 02:56:44.76 ID:hlE7Nyyt0

八幡「お、お邪魔します……」

平塚「んっ///」チュッ

八幡「!?」


 しまった。

 もっと深く用心すべきだった。

 乾いた舌が俺の口内を犯し、潤いを得ていく。緊張してたんだなこの人。

 舌と舌のざらつきがこすれ合うたびに、平塚静は俺に胸をこすりつけた。

 この前は気持ち悪かった煙草の臭いが消えており、代わりにシャンプーの甘い香りが俺を興奮へといざなう。


平塚「ふぁ/// じゅるっ/// んっむっ///」レロレロ


 俺の髪をぐしゃぐしゃと掴みながら、本能の赴くままに舌と舌との絡み合いはヒートアップしていく。

 俺は完全に雰囲気にのまれていて、つい両手が平塚先生の胸へと向かおうとしたのを必死に我慢する。


 これじゃあ、完全に犯されてるのは俺じゃねぇか!


 そう思った瞬間、俺の中でスイッチがオンに切り替わる。




 そして、俺は思い切り———乳首を捻った。




平塚「ひぐっ!?」ビクンッ



 甘い声が一気に消え失せ、ただ単純に痛みによる叫びが部屋に響く。

 あれ、なんだこれ……楽しい、のか?



平塚「は、八幡……いきなり何をするんだ…」ハァハァ///


 ディープキスの余熱と、痛みの余韻で顔がぐしゃぐしゃになる平塚先生。




 とても、可愛いと思った。




 
222 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 03:03:06.33 ID:hlE7Nyyt0


八幡「ふーん、無理やり襲えば何とかなると思ったんですか?」グイッ


 俺は静の顎を無理やり持ちあげると、ペッと唾を吐きかける。


平塚「なっ!? お前っ!?」


 力では勝てると思ったのだろうか、突如激高した静が立ち上がろうとするが、俺は思い切り腕を捻りあげ身体を床へ叩きつける。


平塚「ぎゃっ!?」


 おおよそ女性らしからぬ声が漏れた。だが、俺はその声で酷く興奮した。……酷く。


八幡「なぁ静。俺の事好きなのか?」ハァハァ


 背中の上に膝で体重を乗せる。静はうめき声をあげたが、俺はそのままの姿勢でゆるふわスカートに手を突っ込んだ。


平塚「なっ、や、やめろっ!」


 期待していたのは静の方だろ。

 俺は、無理やりパンツをずらすと、ケツの穴に思い切り指を突っ込む。


平塚「やっ/// そ、そこはっ」ジタバタ


 今までの主義には反するが、状況によってしかたないこともある。



 ここで、断っておくが、俺は酷く冷静だったのだ。……酷く。



八幡「なぁ静。



 今すぐ謝るなら引き返せるけど?」



 この時、俺は何故か静の姿に雪ノ下雪乃を重ねていた。



雪乃『……犯して、比企谷君……』ハァハァ///



 なんて……酷い日だ。



224 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 03:12:06.29 ID:hlE7Nyyt0



平塚「私は……ぐすっ、君を信じあぐっ!?」ビクッ



 第二関節まで入れる。体勢はもう完全に抱きついていた。勃起した下半身は静の太ももに当たってビクンビクンと脈動している。



八幡「俺の話……聞いてくれないんですか?」



 俺は、自分の行動に嫌気がさしていた。

 これじゃあ、葛藤もくそもない。ただただ、俺が導いているだけじゃないか。

 そんなのは興奮しない。身体はビンビンに興奮しているが、心はどんどん萎んでいく。



平塚「わ、わかったっ! 謝る! 謝るから!」

八幡「……それじゃあ、



 このまま、セックスしますね」



 えっ、と静は声を漏らした。それは予想外だったのだろう。良い悪いは別にして。



八幡「ずらすから」



 ずりっ、と一気に引き下ろす。パンツだけは何故黒のティーバックみたいなきわどい奴を履いてるんだこの人……。

 年の割に綺麗なお尻が露わになる。

 うつぶせのまま静は両手で顔を隠した。



八幡「嬉しいって言って」ボソリ



225 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 03:12:57.70 ID:hlE7Nyyt0

 たぷん、と重力に従う胸を手で持ち上げながら、俺は静に自分から言うように促す。

 早く自分を取り戻さないと、一生戻れない気がしたから。


平塚「はぁはぁ/// う、うれしいです///」コクコク


 素直に言うことを聞いたので、俺は優しく胸を揉んでやる。


平塚「ふ、ぅん///」


 四つん這いの体勢で甘い声を漏らす静は完全に雌豚だ。

 俺は雌豚を調教する趣味はない。


 だから、選択肢を与える。


八幡「静」

平塚「?」




八幡「おしっこしてみようか」




 どうやら少しばかり怒りが残っていたようだ。

 この傲慢で自分勝手な女のプライドを粉々にしたい。

 俺は心からそう思っていた。


226 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 03:13:29.07 ID:hlE7Nyyt0



 その瞬間、携帯が鳴った。



 とても、大きな音だった。




 
227 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 03:19:38.10 ID:hlE7Nyyt0


 またたく間に熱が冷めていく。

 平塚先生もまた、落ち着いたのかいつもの表情に戻っていた。


八幡「……ちょっと出ますね」


 俺は部屋から立ち去る。

 そして、スマホの画面を見ると【三浦優美子】と表示されていた。……いつの間に登録したんだこいつ。


八幡「はい」

三浦『あ、ヒキオ。今すぐ来い』

八幡「は?」

三浦『校門の前でいいや。あーしはもういるから』ピッ


 俺は、茫然と立ち尽くす。

 これは救いだったのか、それとも……。


 部屋に戻ると、平塚先生がいそいそとパンツをはいていた。


八幡「平塚……先生…」


 俺は自分でも酷く狼狽した声をだしていると思った。

 それは彼女も感じ取ったのだろう。


平塚「……すまん」


 と、一言告げると、俺が帰るまで一言も口を開くことはなかった。



 玄関の扉をゆっくりと閉め、俺は大きく息を吐き出した。



 それは安堵の溜息か、それとも後悔の落胆か。


 だが、俺の中に巣くう闇。その大きさを垣間見たことで、恐怖を抱いたこと。それは事実である。



 俺はもう一度深呼吸すると、全力で学校に向かった。



 季節は夏、酷く……熱い夏だった。
228 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 03:20:56.95 ID:hlE7Nyyt0
今日はここまでにします!

こういうの要らんねんけどね。やっぱり起きちゃうんだよね。

続きは甘めに三浦タイムと行きます!ご期待を!


後、上条さんの方もよろしくね!では!
231 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 09:59:09.55 ID:hnyT0Mm20
おはようござます!
平塚先生をストーカー予備軍キャラにしてしまったせいで、由比ヶ浜さんのポジが奪われてしまった……

ということで、あーしさんに呼び出しくらったところから続き行きますー
233 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 10:20:45.73 ID:hnyT0Mm20


 ぐちゃぐちゃにかき回されたプリンのような思考を保ちつつ、学校の前にたどりつくとそこには両手で鞄を持った清楚な女学生……清楚とは見た目からは言いにくいが、少なくとも処女がそこにいた。


三浦「おーい、ヒキオー」ブンブン


 嫌な予感がした。

 機嫌の良い時のジャイアンほど信用してはならない。日本国民なら誰しもが知っていることだ。


八幡「なんだいジャイコ」

三浦「は? どう考えてもドラミちゃんだし」


 あんな雪だるまみたいな体型でもいいのか、女の感性は相変わらずわからん。


八幡「で、何の用なんだ? もしかしてカツアゲか?」

三浦「だからジャイアン違うし」


 ジャイコからジャイアンになってるじゃねーか自覚あんのか……?

 三浦は少し言葉に迷った後、にっこりと笑って言った。


三浦「デートの時間ってやつ?」ニコッ


 世の中の男性が羨む出来事であるにもかかわらず、俺には嫌な予感しかしなかった。



 だが、相変わらず予想や予感は外れるのである。




 
234 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 10:30:32.09 ID:hnyT0Mm20

 あーし様とのデートは本当に良い意味での健全なデートだった。

 商店街を手を繋いでぶらつき(恋人繋ぎな所は気になったが)、ゲーセンで遊び、カラオケで歌い、景色の良い丘の上の公園まで散歩する。

 これが正しい高校生の付き合いというやつか。恐れ入ったぜ。健全過ぎて俺の中のカオナシが消えていきそうだ。


三浦「ねぇヒキオ」


 公園のベンチに腰かけても、俺たちは手を繋いだままだった。自分でも意外だったが、こいつの細くてしなやかな指に触れているのは案外悪くない。


八幡「ん? お金ならあんまりないぞ」

三浦「あーしが援助交際してるとでも思ってるん?」ジトーッ

八幡「失言でした……」

三浦「ヒキオ……最近、どう?」


 よく分からない。

 質問の意図がどこにあるのか。

 毎日昼休みに俺の息子の管理をしているお前が言うセリフか。

 とも思ったが、三浦の真剣な……というより思い詰めた顔を見て、俺はおどけるのをやめて真剣に答えた。


八幡「……充実…してるっちゃしてるのかもな」


 忙しい、ただそれだけの意味で言えば充実している。

 心が満たされているかどうかは別として。


三浦「そっか……」


 なんだよ勝手に納得しやがって。

 と、思いきや、それは振りだったようで、


三浦「ヒキオ……いや、八幡君」


 八幡君。

 なんだかそのひどく滑稽に聞こえる呼び方をされた俺は不覚にも顔を赤らめてしまった。


八幡「お、おう///」
235 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 10:31:00.26 ID:hnyT0Mm20



三浦「あーしと……付き合ってください」




236 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 10:39:20.30 ID:hnyT0Mm20



 それは、温泉だと思って飛び込んだら冷水だったような、砂糖だと思ってたら塩だったような、そんな衝撃。


 三浦優美子の告白。


 いや、告白自体は想定外ではない。現に今こうして手を繋いでデートしていたのだから。

 だが、なぜこのタイミングなのか。

 あの昼休みの行動に意味はなかったのか。


 わからない。


 ぐちゃぐちゃの思考がさらにかき乱され、黒く濁っていく。


八幡「な……んで?」


 声を出すのが精いっぱいだった。

 三浦は、そんな俺の状態を察したのか、少し顔をしかめたが、それでも自分の始めた行為を完遂させたいのか、話を始めた。


三浦「いや、そんな意味なんてないし。ただ……あーしは八幡君の事が好きになった。つきあって欲しい。ただ、それだけ」



 ただ、それだけ。



 本当に単純な好意。

 俺にはそれがあまりに透き通りすぎて〝あるのかないのか”わからない。

 手を伸ばしても掴めないし、温度も感じない。



 答えに迷っていると(イエスノーの意味ではなく)、三浦は今までで一番乙女チックな顔で俺を見つめてきた。

 そして——、
237 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 10:46:30.64 ID:hnyT0Mm20


 公園から坂を下りる途中、三浦は「おんぶしろし」とよく分からない言語を繰り出した。

 おんぶしろし。

 昆布だしみたいだな、と言ったら坂道の途中にも関わらず俺の背中に飛び乗ってくる三浦。


三浦「あれ? 案外よろけないんだ」

八幡「鍛えてるからな」


 我ながら全く信憑性のない情報を提示しながら、俺は一歩一歩気を付けて歩く。

 三浦はそんな俺の努力をよそに、首筋に噛みついたり、耳たぶを触ったりやりたい放題だ。


三浦「意外かもしんねーけど、あーしって付き合うの初めてなんだ」

八幡「……意外だよ」


 そう答えると、三浦は俺の口内に指を侵入させてきた。何こいつ天然エロなの?

 俺がちょっと強め(歯形が着くくらい)に噛みついてやると、少し嬉しそうに、


三浦「こら八幡君っ」


 と、頭を軽くたたいた。何この可愛い生き物。


八幡「君付けなんてむず痒いからやめてくれ」


 今までの人生で俺の下の名前を君付けする奴なんて、苛める奴か苛める奴か苛める奴しかいなかった。

 だから、条件反射的にあんまりいい思いはできない。


三浦「ふーん、じゃあ〝ハッチ”」

八幡「八幡でお願いします。ヒキオでもいいぞ」

三浦「……ダーリン♪」ギューッ


 やれやれ。

 これはこれは、大変な夏がやってきたようだ。


238 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 10:54:34.57 ID:hnyT0Mm20



小町「えっ、じゃあ断ったの?」



 意外そうな顔をする小町。なんだ、兄はモテなさすぎて断る権利がないのか?


八幡「何か問題があるか?」

小町「いや、別に小町はないけど……」


 それじゃあ、と、小町は俺の隣に視線を移し、


小町「何で三浦先輩がここに座ってるのかなゴミィちゃん」


 と、俺の隣でニコニコと笑っている三浦優美子のことを言及してきた。

 そう、俺は告白を断ったのだ。


 断ったと言っても、正確には保留に近い。


 三浦の好意は意外にもうれしかったし、このまま付き合いたいという気持ちもあった。

 だが、それをするには少し汚れすぎているのだ。

 俺の中に巣食う闇をどうにかしない限り、きっと三浦を幸せにはできない。

 おそらくもっと滅茶苦茶な説明だったと思うが、三浦はちゃんと俺の話を聞いてくれた上で「わかった」と納得してくれた。


三浦「あーしは断られたけど、振られた訳じゃないから」


 女王の品格とでも言おうか、明らかに無茶苦茶な理論だが、なぜかそれが正しいように聞こえる。

 小町も納得してしまったのか、それ以上何も言おうとはしなかった。


 そして、ここから俺にとって甘美で未知な体験が始まるのだった。


 そう、三浦優美子の処女を奪う時間である。
239 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 11:03:24.40 ID:hnyT0Mm20

 いつだったか、三浦優美子が肉体的にも優れている説明をしたと思うが、裸を見て改めて思う。


八幡「エロ過ぎ……」


 そう、エロ過ぎなのだ。

 隅々まで一切の汚れ——産毛やにきび、傷を許さないその身体は、一つの美として完成されていた。

 さらに言えば、彼女の身体はまだ男を知らないのである。


三浦「正直すぎだし///」


 照れながらも、その裸体を隠すことをしないのは、三浦優美子という人間がいかに俺に対して真摯にまっすぐ向き合おうとしているかわかる。


八幡「三浦、本当なら付き合ってからってのが正しいとは思うが……」


 我ながら、今更過ぎる発言だとは思うが、三浦を見ているとすごく……青春している気がするのだ。健全な男の子でいたくなる。


三浦「うん、でも別にいいよ。後で付き合うし」


 その表情に陰りはない。心の底からそう信じているのだろう。

 俺は一生その顔を誰かに向けることはできないだろう。

 心から相手に対して自分を預ける。それはとても勇気のいる事だ。

 俺にはその勇気が……ない。


三浦「ほら、おいで」


 まるで母親のように両手を広げて俺を呼ぶ三浦。

 俺は照れを隠しながら、ゆっくりと三浦の身体にもたれかかる。

 すごくいい匂いがした。


 あまりに良い雰囲気過ぎて、勃起しているかどうか分からなかった。



 
240 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 11:15:17.91 ID:hnyT0Mm20


 首筋から肩にかけてゆっくりと撫でると、「んっ///」と両目をつぶって俺の服を掴んだ。


三浦「八幡だけ服着ててずりーし///」ハァハァ


 冷えるから、と冷房をつけなかったせいで、三浦の身体からじんわりと汗が浮いてきていた。

 俺はそれをかすめ取るように撫でると、指からぽたりと彼女の太ももに落ちた。


三浦「汚いからやめろってば///」


 その表情に不満げな様子は一切なく、女の子はこういう行為に弱いのかと勉強させられる。


八幡「綺麗だ」


 首筋の汗を舐めると、はっきりと味はわからないが、自分の下半身が一気に爆発しそうなほど膨張したのを感じた。


三浦「八幡って、ほんとエロいよね…///」ハァハァ


 どう考えてもエロ代表だろって恍惚の表情を浮かべる女王の言葉は流して、俺はそのハリのある乳房に両手を沈ませた。

 
 ふわり。


 その表現が一番しっくりくる。

 太ももの健康的な返しとは別の弾力。

 一度触れれば二度と話したくないようなマシュマロの感触。


三浦「んっ///」


 柔らかい胸の先にある小さな硬い突起物。

 それが何とも言えないアクセントを呼び、俺はすでに三浦の胸の虜だった。


 まるで、赤子のようにしばらくの間、三浦の胸を揉み続けた。


 耐えかねた三浦に唇を奪われるまで。
241 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 11:23:09.32 ID:hnyT0Mm20


三浦「んっ/// はむっ///」ジュルッ///


 舌と舌が触れ合うたび、涎が溢れて太ももを濡らす。

 俺の手は相変わらず胸を責めていたが、自然に下腹部から性器の方へとスライドさせていった。

 小町に感じたぽっこりとした下腹部はなく、いつのまにか秘部の周囲にある陰毛へと到達していた。


三浦「八幡……あ、あーし初めてだから……、変だったら…ごめんな」ギュッ///


 可愛い。

 俺だってそんなに知ってるわけじゃないと言ったら怒られそうなのでやめておく。



 ぬぷり。



 予想外にも簡単に滑り込んで性器の中へと到達してしまった。


三浦「んっ、はぁっ///」ビクンッ


 始めては痛いと聞くが、三浦の声にそれはなく、あまりにも甘い声が部屋に響いた。

 どうせなら、こっちで今すぐ貫きたいが、俺はいまだに迷っていた。


 三浦を幸せにしたい。


 その気持ちのせいで、これ以上の行為に進めなかった。
242 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 11:27:22.73 ID:hnyT0Mm20




 ———そんな言い訳をしている自分を見て、闇は下卑た笑い声をあげた。




 
243 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 11:32:16.04 ID:hnyT0Mm20


 脈拍が一気に速まる。

 どくんどくんと、心臓が生き急いでいる。


 分かっている。


 俺が求めているもの。

 それがこれでないことぐらい。

 健全で健康的な性行為。

 愛と愛との確かめ合い。優しいふれあい。


 透き通った水。


 生きられない。

 俺は、そんな世界では生きられない動物だ。


 だが、努力をすれば何とかなるのでは?

 努力をして我慢をして他人の為に生き抜けば、それはそれは素晴らしい人生なのでは?


 折り合いをつけて、妥協して、見切りをつけて、


 それが人間ってものじゃないのか?


 
244 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 11:33:22.49 ID:hnyT0Mm20


 比企谷八幡は、青春ラブコメを間違えないで生きられるんじゃないのか?



245 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 11:35:50.42 ID:hnyT0Mm20


八幡「……三浦」


 やめろ。


三浦「うん……///」コクリ


 それは駄目だ。


八幡「あのさ」


 おい。


三浦「……優しく、しろし///」


 頼む。


八幡「それじゃあ」


 頼むよ。





八幡「俺の布団におしっこしてよ」





 やはり俺は、自らの意思で間違えるのである。


246 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 11:40:48.12 ID:hnyT0Mm20
ちょっち休憩。

どんどん変態ssになっていく(すっとぼけ)
249 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 11:57:20.44 ID:hnyT0Mm20
ありがとうございます!
ここからの展開は、裸におしっこという実像ではなく、裸で布団におしっこをかけるかかけないかの偶像(葛藤)を楽しんで頂きたいです。

では、軽く続きー
251 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 12:04:45.76 ID:hnyT0Mm20


三浦「………」


 どうやら、三浦もある程度予測していたのだろう。

 性器に人差し指を突っ込まれた状態で、布団におしっこをするように指示を出されながらも、怒ることなく考えてくれていた。


八幡「………」クイッ

三浦「んっ///」ビクッ


 思考を停止することだけはつまらないので、定期的に刺激を与えて、思考を巡らせる。


八幡「三浦、可愛いよ」


 突起物を撫でるたびに、三浦は甘い声をあげるが、その思考は葛藤の中にあり、快楽が邪魔とさえ感じているようだった。

 快楽を邪魔と感じる。

 その人間の欲望を否定するような事象。それこそが俺が求めているものであり、三浦優美子にその素養があることはもはや分かりきった事だった。


三浦「はちま……んっ/// ……はぁはぁ/// あん…たは、んっ/// その……セックスよりも…そういうのが……好き…なん?」ハァハァ///


 正直に答えてもいいが、俺に好意を抱いている以上、三浦は俺の求めるように行動するはずだ。



 それじゃあ意味がない。



八幡「優美子、〝お前が選択するんだ”」



 少なくとも今、俺はフル勃起していた。
252 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 12:19:45.85 ID:hnyT0Mm20


三浦「……本当にするけど…後悔しない?」ジッ


 確認するなんて、本当に俺の求めているもの分かってんのか。


八幡「えっ、本当にするの?」


 俺はとぼける。三浦は「あんたがしろって言ったし!」と憤慨したが、俺はちょっと強めにこっちへ抱き寄せ、言った。


八幡「優美子、じゃあお前は俺が〝優美子がしたいって言ったからセックスした”って言って納得できるのか?」


 俺は三浦の返事を聞かず、しばらくの間彼女の口内を犯す。

 三浦は俺の唾液を移されることに興奮するらしく、少しだけ唾液を与えると、もっとくれと言わんばかりに舌を入れ返してくる。

 その間、なぜか足をもぞもぞと動かしているので、再び性器の中へ指を入れると、なるほどさっきよりスムーズに入る。

 どうやら、人間は身体全体で子作りの準備を進めていくらしい。


八幡「……もう聞かないか?」チュプッ


 唾液が糸を引いて、三浦の顔に落ちる。

 テラテラと光る三浦の頬は、もはや健全な女子高生とは言えない妖艶さを醸していた。


三浦「……うん、あーしが悪かったよ///」


 どうやら言われたからセックスのたとえ話が相当こたえたらしく、何も言わずに俺のベッドへ腰かけた。


三浦「あ、あのさ……、体勢はどうすれば良いん?」


 洋式のトイレしか体験したことのない世代だ。ヤンキー座りでおしっこなんて考えられないのだろう。

 どっちみち、そんなおしっこをする姿勢なんて取らせないが。


八幡「そりゃ、そのままの姿勢で、だろ」

三浦「……え?」


 両足をピッタリ閉じて、ベッドに腰掛けた状態。

 腰を浮かせることもなく、そのまま解放する。


 俺に葛藤している姿を見せてくれ、三浦優美子。


 
253 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 12:33:22.02 ID:hnyT0Mm20

 三浦がベッドに腰掛けて数十秒が経った。

 それはあまりにも長いご褒美の時間。


 人間は長い時間をかけて、自分の意思で排尿のコントロールを覚える。

 その後は、身体がタイミングを覚える。この場所で、この状態ならしていいと。

 そうするうちにコントロールに制限ができる。


 それが理性だ。


 人前ではしない。パンツを履いてしない。トイレ以外の場所ではしない。

 そこまで成長すると、もはやトイレ以外の場所で排尿する方が難しくなる。


 三浦は、出せない自分と、出したくない自分、そして出さなければいけないという混沌とした葛藤で、幼児がおしっこを我慢するような表情をしていた。それも、裸で、好きな人の部屋で、好きな人のベッドの上で。


三浦「………ぁ、でる…」ブルッ


 女子でもおしっこする時は震えるんだな。

 排尿が始まった感動よりも、無駄に増えた知識に対する感想の方が先に来る。


 ——ぴちゃっ。


 顔に温かい物がかかる。

 三浦はハッとした表情で股を閉じて両手で秘部を抑えた。

 俺は、それを無理やり引きはがすことはせず、ただ一言、


八幡「優美子」


 と、声を掛けると、三浦は俺の求めるものを察したのか、その手をどけ股を開いた。

 放物線は綺麗な弧を描き、俺の顔や服にかかる。


三浦「んっ/// だ……めぇ///」ポロポロ


 どうやら、排尿の快感と好きな人に自分の汚物をかけるという背徳的な行為で、思考の〝たが”が外れてしまったようだ。

 涙を流しながら笑みを浮かべ、顔を赤くしながら息を荒くしている。


 自分でも驚いたが、気付いたら俺は……自分の性器をしごいていたのである。


 ここに、一つの形が完成した気が……した。



 
254 : ◆3svf9ywuI. 2014/01/25(土) 12:37:41.04 ID:hnyT0Mm20

 もちろん、普通の性行為もちゃんとした。

 俺ばかり気持ちよくなるんだったら、それは自慰行為で済ませればいい。

 お互いがお互いを想い、考え行動する。

 だからこそ、俺はこの行為を続けようと思うのである。


三浦「……ほんと腹立つし」

八幡「何が?」

三浦「……エッチより、あんたにおしっこかけた時の方が気持ちよかったなんて…」ムスッ

八幡「お前、それ正直すぎんだろ……」

三浦「〝ヒキオ”」

八幡「ん?」



三浦「あーしを目覚めさせた責任、とってもらうからね」ニッ



 熱い夏。

 三浦優美子の笑顔は、俺を満たしてくれた。



関連作品: 八幡「やはり俺の嗜虐心は間違っている」結衣「しがくしん?」2

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