1 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/02/06(月) 18:16:00 ID:kZvZ2IkM


男「おかしいだろ・・・一般的には夏のイメージじゃないか?」

女「馬鹿野郎!怖い話に季節なんて関係ないのよ!」

男「誰だよ『冬だし怖い話でもするか!』とか言った奴」

女「エーダレソレコワーイ」

男「ふざけるな」

女「まぁ鍋でも食いながらしましょうや」

男「しゃーねぇな」

引用元: http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1328519760/

2 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/02/06(月) 18:20:21 ID:kZvZ2IkM
ズズ

男「まだ鍋煮えないな」

女「んじゃ一丁怖い話でもしますか」

男「じゃあお前からな」

女「待ってました!!」

男「テンションやばいな」

女「じゃあ冬の怖い話をするね」

男「おー」

女「むかーしむかしおじいさんとおばあさんが・・・」

3 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/02/06(月) 18:25:56 ID:kZvZ2IkM
ズズズ

男「えっと、それはおとぎ話の気がしてならないんだけど」

女「大丈夫!安心して聞いて!」

男「おう・・・」

女「昔、北の方の話。その村は雪がよく降る地域だったの」

男「ここみたいな地域か」

女「そ、そ。んで、ある農家のおじいさんは困っていたの。冬は作物が作れないからね」

4 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/02/06(月) 18:30:53 ID:kZvZ2IkM
ズズズズ

男「農家は大変だよな」

女「ねー。だからそのおじいさんは狩をすることにしたの」

男「ほうほう」

女「狩のために山に入ると白鳥が罠にはまってもがいていたの」

男「・・・うん」

女「その白鳥をおじいさんは逃がしてやったの。そしたらその晩、おじいさんの家に若い娘が・・・」

男「まて、それは鶴もとい白鳥の恩返しでは無かろうか」

女「ちがうよ!オリジナルだよ!」

5 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/02/06(月) 18:35:47 ID:kZvZ2IkM
ズズズズズ

男「嘘つけ!自分で言っておいて真面目に話さないのか!」

女「冗談だよー・・・あ、鍋煮えた」

男「まったく・・・じゃあ鍋食いながら話せよ」

女「はぁーい。わお!美味しそう!」

男「タラ鍋は美味しいよな。いただきます」

女「いっただっきまーす!わお!でっかい鱈!」

男「うまい」

女「あぁー!その鱈私のよりでっかいよ!」

6 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/02/06(月) 18:39:18 ID:kZvZ2IkM
ズズズズズズ

男「知らんがな」

女「うぅー・・・男なんか怖い話でビビってろ!」

男「んじゃビビるような怖い話してみろよ」

女「いいわよ・・・漏らさないでよね?」

男「誰が漏らすか」

女「ごほん・・・これはあるビルの話よ」

男「おう」モシャモシャ

女「・・・そのビルの六階にはある噂があるの」

7 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/02/06(月) 18:43:55 ID:kZvZ2IkM
ズズズズズズズ

男「六階ってよく怖い話に使われるよな」モシャモシャ

女「そうね・・・で、その噂なんだけど・・・」

男「うん」ズズー

女「・・・冬なのに蝉がなく」

男「はぁ?」

女「そのビルには二つの階段があるの」

男「ほう」

女「西階段と東階段。で、その西階段の方から蝉の声がするーって噂されていたのよ」

8 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/02/06(月) 18:49:54 ID:kZvZ2IkM
ズズズズズズズズ

男「西階段の方か・・・東階段からはしないのか?」

女「そう。蝉がなくのはいつも西階段からなの。で、六階にはある女の人と男の子の家族と老夫婦、若い男の人が住んでいたの」

男「・・・うん」

女「男の人が会社から帰って西階段を上ると、蝉の声が聞こえたの」

男「ほう」

女「六階に上がるための踊り場付近からジーッジーッジーッって」

9 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/02/06(月) 18:58:13 ID:kZvZ2IkM
ズズズズズズズズズ

男「何だっけ・・・ジージー鳴く蝉って」

女「多分アブラゼミかな・・・踊り場をあがるとだんだん声が大きく鳴るの」

男「ほう」

女「その蝉の声はどうやら女の人の部屋から聞こえるの。ノックをしても蝉の声がするだけ」

男「おう・・・」

女「ドアノブをひねると・・・ガチャリ。ドアが開いたの。そのドアの裏には・・・」

男「・・・」

女「ドアいっぱいの大きさの蝉が張り付いていたの」

男「きめえええぇええぇえぇえ!!!」

女「・・・男の人はその部屋に入ったの」

10 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/02/06(月) 19:05:19 ID:kZvZ2IkM
ズズズズズズズズズズ

男「逃げろよ!でっかい蝉いたんだろ!?」

女「・・・だってその蝉は死んでいたんだもの。どうやら奥の部屋から声がするから声をかけてみたの『すみません』すると『はーい』と女の人の声」

男「・・・」

女「みると女の人は奥の部屋にいたの・・・たくさんの蝉と一緒に」

男「おぇええ・・・」

女「でも、その蝉はすべて死んでいるの。じゃあその蝉の声はどこから・・・すると女の人が声を出し始めたの」

男「・・・」

女「ジーッジーッジーッって」

11 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/02/06(月) 19:08:55 ID:kZvZ2IkM
ズズズズズズズズズズズ

男「身体中に鳥肌が・・・怖いんじゃなくてキモイからだぞ!なんだその話!」

女「漏らした?」

男「漏らさねーよ!・・・鍋食いたく無くなったじゃん」

女「心配しなくてもすべて食べてあげる」

男「やめろ!」

女「さっ次は男の番!」

男「えぇー・・・」

女「ほら早く!」

男「しゃーねぇな・・・」

12 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/02/06(月) 19:22:05 ID:kZvZ2IkM
ズズズズズズズズズズズズ

男「今からほんの少し前・・・ちょうど二、三年前に聞いた話をする」

女「ほうほう」

男「これは携帯電話にまつわる話だ。ある中年の男には二人の娘がいた。いつも携帯を買って欲しいとせがんできた」

女「ふむ」

男「でも男は買い与えなかった。無駄だと思っていたからだ」

女「ほう」

男「ある日、長女が三泊四日の旅行に行くことになった。さすがに連絡を取らねばと思い男は長女に携帯を買ってあげた」

女「ふむふむ」

13 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/02/06(月) 19:28:50 ID:kZvZ2IkM
ズズズズズズズズズズズズズ

男「留守番を男と次女がしていると電話がなった。どうやら長女のようだ」

女「ほう」

男「次女が電話を取ると・・・『に』と長女のではない声がしてすぐにきれた」

女「おう・・・」

男「リダイアルすると長女がでた。電話などかけてないという。疲れているようだったので次女は電話をきった」

女「いい子ね」

男「次の日は『いち』という電話がきた。長女は旅を楽しんでいるようだった」

女「・・・ねぇ、その電話って」

14 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/02/06(月) 19:35:14 ID:kZvZ2IkM
ズズズズズズズズズズズズズズ

男「早とちりすんなって。次の日の朝早くに電話が来た。長女が旅行先で倒れたという電話だ。そこで男は旅行先へと向かった」

女「・・・うん」

男「次女が一人で留守番していると電話がかかる。『ぜろ』という電話だ」

女「・・・」

男「それからしばらくしてまた電話がきた。病院からだ。旅行先へ向かう途中、男が事故で亡くなったというものだ」

女「・・・」

男「時間は『ぜろ』という電話がかかってきた時だった」

女「・・・その電話、お姉さんへのものかと思ったわ」

15 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/02/06(月) 19:37:15 ID:kZvZ2IkM
ズズズズズズズズズズズズズズズ

男「やっぱりな」

女「もう・・・でもあまり怖くないわね」

男「うるせー!」

女「ねぇ、鍋食べちゃいましょ?」

男「そうだな・・」

女「うーん・・・冷めてる」

16 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/02/06(月) 19:41:17 ID:kZvZ2IkM
ズズズズズズズズズズズズズズズズ

男「くそー・・・話が長かったか」

女「んじゃ温めますか」

男「おー・・・」

女「でもこれ美味しいわね・・・おばさんが煮たの?」

男「ぶぶー」

女「えぇー・・・お姉さん?」

男「ぶぶー」

女「おばあちゃん!」

男「ぶぶー」

女「えーっと・・・お父さん?」

男「ぶぶー」

女「じゃあ・・・まさか」

17 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/02/06(月) 19:44:40 ID:kZvZ2IkM
ズズズズズズズズズズズズズズズズズ

男「煮たのは俺です」

女「えぇー嘘だよー」

男「嘘じゃねーよ」

女「くそー負けたー」

男「お前は料理下手だからな」

女「失礼な!」

男「プリンサラダはやばかった・・・」

女「何をー!!美味しいじゃないの!」

18 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/02/06(月) 19:46:53 ID:kZvZ2IkM
ズズズズズズズズズズズズズズズズズズ

男「げぇー・・・舌おかしいと思うぜ」

女「ひどーい!!」

バチン

男「!?暗くなったぞ」

女「て、停電!?」

男「ちょっとブレーカー見てくる」

女「うん、よろしく・・・」

20 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/02/06(月) 19:49:13 ID:kZvZ2IkM
ズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズ

男「ロックがかかっている!?」

女「な、なんで・・・」

男「くそ・・・誰だよ」

女「怖い・・・」

男「・・・」

女「・・・ねぇ、変な話、していい?」

男「・・・あぁ」

女「さっきからさ、変な音しない?」

男「・・・」

女「ズズズズっていってない?」

21 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/02/06(月) 19:52:08 ID:kZvZ2IkM
ズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズ

男「よく気付かないな・・・」

女「え?」

男「俺はずっと注意してやってたんだぜ?毎回毎回、最初に」

女「え?男?」

男「・・・なぁ、女」

女「な、なに」


男「まだ気付かないのか?」


おわり

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