1 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/17(金) 23:08:37.31 ID:GmVzDa4D0

○月×日 晴れ

今日は畑で働いていたらお父さんがボクを呼びました。
王宮からの使者がボクを連れに来たから付いていきなさいとのことでした。
王宮に行ったことなんてないし、何で王宮でボクのことを呼ぶのかもわからなかったけど、取り敢えず付いて行きました。

初めて行く王宮は凄く大きくて、うちとは比べ物にならないほどの凄い建物でした。
中に入ったら、凄く高そうなツボや絵とかがいっぱい飾ってありました。
あのツボなんて、うちの畑の年収より高そうです。

♀魔王「暢気な勇者だねー」センベーオイシー

もうスレ落ちそうけど大丈夫かな

引用元: http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1329487717/

10 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/17(金) 23:14:39.34 ID:3MbdIUeg0
○月△日 ちょっと曇り

王様から武具と、あと、国の人たちにボクが勇者ということを証明するための王さまからの証明書をいただきました。
証明書にはなんか文字がいっぱい書いてましたけど、ボクにはそれらを全部読むことができません。

それにしても、これから、本当に勇者として魔王を倒すために行かなきゃならないようです。
ボクはただ畑を耕して過ごして来たいただけなのに…

「酒店に行くと、仲間を探せるだろう」

とお父さんが教えてくれたので、私は酒店に行きました。

「子供は入ってきちゃダメだ」

って門前で追い出されました。
どうすればいいのかわからなくなっちゃいました。

♀魔王「!!!」パンパンパンパン<<ベッドを叩く音。
11 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/17(金) 23:17:59.10 ID:3MbdIUeg0
○月▽日 雲多め


今日は教会に行きました。

神父さんに勇者になりましたと言ったら、神父さんは驚きながらも

「神さまのご加護がありますよう…」

と祝福をしてくれました。

祈祷をしてから帰ろうと思ったら、神父さんがちょっと待ちなさいと言ったので待っていたら、
僧侶のお姉ちゃんと一緒に出てきました。
僧侶お姉ちゃんはいつも告解する時の部屋に居たり、祈祷する部屋に居たりして、ちゃんと顔を見たことがありません。

そんな僧侶お姉ちゃんですが、ボクの仲間になってくれるそうです。
ありがとうって言ったら、僧侶お姉ちゃんは顔を赤くしながら

「こちらこそよろしくお願いします」

と言ってボクの手をぎゅって握ってくれました。

♀魔王「こいつ絶対ショタコンだ」
18 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/17(金) 23:27:42.73 ID:3MbdIUeg0
○月☆月 晴れ

僧侶お姉ちゃんと戦士お姉ちゃんと一緒に村から出発しました。
お母さんは泣いて、お父さんは誇らしげな顔でボクを送りました。
お母さんとお父さんから離れるのは嫌だけど、頑張ってみようと思います。
これからほんとに魔王を倒すための旅が始まります。

♀魔王「…あ、そういえば最終的に私この子と戦わなきゃいけないんだ」スッカリワスレテター
19 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/17(金) 23:28:41.65 ID:3MbdIUeg0
戦士お姉ちゃんが来ている服を見てると、なんか寒そうだなぁと思いまして聞いてみたら

「全然大丈夫さ。戦い始めたらこうじゃないと暑苦しいんだ」

って言いました。

後ろで僧侶さんが
「……ッチが」
って言いましたけど、良く聞こえませんでした。

♀魔王「あんたは知らない方が良さそうね(汗)」
20 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/17(金) 23:30:12.13 ID:3MbdIUeg0
○月↑日

今日は旅を始めて初めて魔物に会いました。
といってもただのスライムなのに、ボクは慌てて重い剣を振ろうとして倒れてしまいました。
膝から血が出て痛かったんですけど、僧侶お姉ちゃんがホイミをかけてくれたので、直ぐに治りました。
ありがとうって言ったら前みたいに顔を赤くしてボクから目を逸らしました。

スライムは全部戦士お姉ちゃんが倒してくれました。
戦士お姉ちゃんってすごいなって思いました。

♀魔王「よわいな、おい。そんなんで私を倒せるか」
28 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/17(金) 23:38:28.88 ID:3MbdIUeg0
○月←日 雨

雨が振ったので、旅は中止にして今日はこのまま泊まることにしました。
お金にそんなに余裕があるってわけじゃないのでちょっと心配です。
雨が長く続かなきゃいいんだけど……

戦士お姉ちゃんは「だから言ったじゃない。無理して…」
そしたら僧侶お姉ちゃんが「人に受けた恩の分だけ返すというのは人が生きることで最も基本なことだと思います」って言いました。
ボクも僧侶お姉ちゃんの言う通りだと思います。

♀魔王「この勇者すっごい損する性格してるなー」
54 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/18(土) 00:09:21.41 ID:YkdqPr6K0
△月☆日 晴れ

戦士お姉ちゃんにその剣はお前に似合わないって言われたので武器屋に来ました。
確かにこの長くて重い剣なんて、ボクには持つことさえもちゃんと出来ません。

ボクに使えそうな短剣をみつけたのですが、値段が高くて今ある金じゃ買えません。
今ある剣は王さまからもらった剣なんだから売るのもどうかと思ったのですけど、戦士お姉ちゃんが

「じゃあ、私の剣売って買おう」

って言いました。
じゃあお姉ちゃんはどうするのって聞いたら、ボクの長剣を使ったら良いって言いました。
それでも、自分の愛剣を売ってくれるなんて、ボクは戦士お姉ちゃんに何度も礼を言いました。
この短剣は絶対大事に使います。

♀魔王「……っちが」



89 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/18(土) 00:42:23.35 ID:YkdqPr6K0
▲月○日 晴れ

ようやく僧侶お姉ちゃんの風邪が治りました。

聞いた話ですが、勇者のパーティーは普通4人パーティーだそうです。
それだとボクたちはもう一人要るかなぁと思ってお姉ちゃんたちに相談してみたら

「勇者は私だけじゃ頼りないって言いたいのか!」
「そうです!後衛は私一人だけでも十分です!コレ以上増やされちゃ困ります!」

ってなんか二人とも怒ったのでちょっと怖かったです。
この話は当分しないことにしようと思います。

♀魔王「『何が』増やされると困るんだろうか」ニヤニヤ
95 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/18(土) 00:48:26.80 ID:YkdqPr6K0
▲月◎日 大体曇り

夜おしっこがしたくて起きてトイレに行こうとしたら、外から誰かが話してる声がしました。

耳を傾げたら、戦士お姉ちゃんと僧侶お姉ちゃんが話していました。

「……負けないわよ」
「こちらの台詞です。女戦士さんなんかに…」

…なんか、二人とも雰囲気が良くないです。
明日話してみることにします。

♀魔王「気付かれた」
98 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/18(土) 00:52:38.04 ID:YkdqPr6K0
▲月◆日 雨

「お姉ちゃんたち、もしかして喧嘩してる?」

って言ったら、二人とも同時に

「いや」「いいえ」

って返しました。
二人が言うことだから本当だと信じて、

「ボクはお姉ちゃんたち皆好きだよ」

って言ったら、二人とも顔を赤くして中央のボクから目を逸らしました。

……ボクってもしかして実は嫌われてるのかな。

♀魔王「このパーティーはこのままで大丈夫か?」
115 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/18(土) 01:15:13.04 ID:YkdqPr6K0
◇月□日 晴れ

恐る恐るも、お姉ちゃんたちにどうして四人目の人が入るのをそんなに嫌がるのか聞きました。

「コレ以上増えたら困る」
「なんで?仲間が増えたら戦いやすいと思うよ?」
「いや、そういう問題じゃない」

じゃあどういう問題なのかって聞き返そうとしたのだけど、あまり問い詰めても答えてくれそうにありませんでした。
僧侶お姉ちゃんに聞いてみたら、

「…勇者さまは私だけじゃあ不満ですか?」

って泣かれちゃって、その日は僧侶お姉ちゃんと一緒の布団で抱き枕にされなければなりませんでした。


♀魔王「おい、さりげなく一歩置いとかれたぞ、女戦士」

追記:次の日起きたら、戦士お姉ちゃんが「僧侶おまえー!今夜は私の番だからなー!」
となんか凄く怒って直ぐに倒れちゃいました。戦士お姉ちゃんって朝低血圧なのに熱くなっちゃって……どうしたんだろ。
118 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/18(土) 01:22:08.09 ID:YkdqPr6K0
◎月○日 曇り

最近は普通に道で現れる魔物には普通に対応できるようになりました。
レベルもそれなりに上がっていると思います。
やっと勇者として少しは自身を持っていいかなぁと思ったんだけど、
取り敢えず、戦士お姉ちゃんに勝てるように頑張ろうと思います。

最近は戦士お姉ちゃんと対練することもあるんですけど、時々姿勢が崩れて倒れそうになると、戦士お姉ちゃんがいつも受け止めてくれます。
その後凄く怒られるけど、その度にどんどん受け止める時の力が強くなっていく気がするのは何ででしょうか。


対練した後には、汗臭くなるので寝る前にちゃんとお風呂に入ります。
一人じゃ髪が洗えなくて、いつも僧侶お姉ちゃんに手伝ってもらいます。
そういえば、戦士お姉ちゃんと対練する日っていつも僧侶お姉ちゃんと一緒にお風呂に入る気がします。なんでだろう

♀魔王「二人の間に役割分担がしっかり行われてる」

172 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/18(土) 02:32:59.38 ID:YkdqPr6K0
魔法「あはっ」

勇者「え?」

魔法「あはははっ、やっぱあんたって面白いよ、勇者ちゃん」

勇者「魔法使いちゃん?」

魔法「まだわからないの?私が誰なのかって」

勇者「え?魔法使いちゃんは魔法使いちゃんだよ?」

僧侶「…!まさか…!」

戦士「なんだ、僧侶」

僧侶「勇者さま!今直ぐそいつから離れてください!」

勇者「どうしたの、僧侶お姉ちゃん?何で皆ボクが分からないこと言うの?」

魔法「あなたがどうしようもなく馬鹿正直だから分からないのよ。ばか。ま、そういうあんたも嫌いじゃないけど」

勇者「どういうことなの?」

僧侶「知能の低いトロールさえも分かるほどの力の差。魔物の中でそんな力を持った者は、一人しかいません」

戦士「まさか、こいつが……魔王?」

勇者「…え?」
173 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/18(土) 02:35:23.53 ID:YkdqPr6K0
勇者「魔法使いちゃんが…魔王?」

♀魔王「そうだよ、勇者ちゃん、私が魔王。あなたが倒そうと思っている魔族の王だよ」

勇者「……」

戦士「勇者、早くそいつから離れろ!」

勇者「…魔王……魔法使いちゃんが…」

♀魔王「驚いた?驚いたでしょうね。せっかく仲間が加わったと思ったら直ぐに裏切られたもの」

勇者「…ごめんなさい!」

♀魔王「え!?」
178 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/18(土) 02:38:17.23 ID:YkdqPr6K0
勇者「あのね、ボク魔王だって言うからきっと怖そうなムサい人と思ってたよ」

勇者「なんか髭とか沢山生えた怖そうな鬼みたいな顔想像してたの」

♀魔王「……ぷっ!」

♀魔王「あははっ!やっぱあんたって面白い!」

♀魔王「この絶体絶命な状況で人のことをムサイ男扱いしたことを謝ってるわけ?」

♀魔王「どれだけ馬鹿で、どれだけ正直者だったらそうなれるのかしら」

♀魔王「そういうあんただからこそ活かしてあげたんだけどね」
179 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/18(土) 02:41:02.36 ID:YkdqPr6K0
戦士「活かす?」

僧侶「どういうことですか?私たちをここで仕留めるってわけじゃあ……」

♀魔王「そんなことするわけないでしょ?大体、殺すつもりだったら別にトロールたちに囲まれてるのを助ける必要もないでしょう」

勇者「じゃあ、どうして魔王ちゃんはボクたちのこと助けてくれたの?」

♀魔王「まおうちゃ……まあ、良いわ。ここボストロールの洞窟と、あんたたちがここの討伐を頼まれたあの村はね、魔族たちが仕掛けたトラップなのよ」

僧侶「トラップ?」
180 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/18(土) 02:44:01.71 ID:YkdqPr6K0
♀魔王「ほら、人間どもって、最近名ばかりの勇者を大量生産したりするじゃない?」

♀魔王「そんなの勇者の名前だけで私が一々気にしてたらキリがないのよ」

♀魔王「だから適当な所に勇者群れを仕留めるトラップを仕掛けて、落ちこぼれ勇者たちはそこで仕留めてるのよ」

勇者「落ちこぼれ勇者……」ガクリ

♀魔王「そう、こんな試練も乗り越えない、半人前とも言えない名ばかりの勇者」

♀魔王「ここはそういう出来損ないな奴らを仕留めるために作られた勇者たちの墓場よ」
182 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/18(土) 02:49:27.43 ID:YkdqPr6K0
♀魔王「あなたたちはぶっちゃけ弱かった」

♀魔王「勇者は親が勇者ではおろかその血も継いでない普通の人間」

♀魔王「薬吸って占う似而非占い師の占いで勇者に選ばれた、謂わば犠牲者」

♀魔王「戦士と僧侶と来たら途中まで勇者を自分のものにしようと競うばかりでパーティーのチームワークなんてあったもんじゃない」

♀魔王「それだけでも足りずに敵増やさないようと四人目の人を入れることも拒んだ」

♀魔王「そんな勇者一行がこの先生き残って私の前に辿りつける確率がどれほどあると思う?」

♀魔王「零よ」
183 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/18(土) 02:52:17.32 ID:YkdqPr6K0
勇者「……確かに魔王ちゃんの言う通りかもしれないよ」

戦士「勇者」

僧侶「勇者さま」

勇者「ボクはちゃんとした勇者じゃないから、きっと強くもないし、今日魔王ちゃんが助けてくれなかったら、きっと危なかったよ」

勇者「でも、魔王ちゃん」

勇者「どうしてボクを助けてくれたの?」

勇者「魔王ちゃんの言う通りだと、ボクたちはここで間引かれるはずなんじゃないの?」

♀魔王「…それはね、勇者ちゃん」

♀魔王「あなたにはこの先もずっと旅し続けて欲しいからよ」
185 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/18(土) 02:55:26.29 ID:YkdqPr6K0
♀魔王「あなたの日記を読んだわ」

♀魔王「勇者とは思えない平和ボケな旅だった」

♀魔王「でも、嫌いじゃなかったわ、そういうの」

♀魔王「寧ろ楽しかった。そして、いつの間にか自分もそこに混ざりたいとまで思った」

♀魔王「だから、ちょっと気分だけでも出してみただけよ」

勇者「…だからボクの仲間になるって言ったの?」

♀魔王「そう、ただの遊び心。気まぐれよ」

勇者「……」

♀魔王「私が居る所まで来なさい、勇者」

♀魔王「あなたと戦う日を待っているわ」

♀魔王「あなたの旅を楽しみながらね」

勇者「……うん」
191 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/18(土) 02:57:45.84 ID:YkdqPr6K0
勇者「魔王ちゃん。約束するよ」

勇者「ボク、強くなるよ」

勇者「今日魔王ちゃんに助けてもらった分、ううん、それ以上に強くなる」

勇者「それぐらいじゃないと、魔王ちゃんの所に辿りつけないし」

勇者「魔王ちゃんに勝てないから」

勇者「だから…待ってて、ボクが行くまで」

勇者「魔王ちゃんと一緒に居た時間、短かったけど、楽しかった」

♀魔王「……期待しながら待ってるわ」
195 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/18(土) 03:04:16.95 ID:YkdqPr6K0
♀魔王「……ぷっ」

♀魔王「誰が負けますか、ばーか」

♀魔王「せいぜい早く来ることね」

♀魔王「私の気まぐれが終わる前に…」



追記:


人の日記を読むなんて、最低だと思います。

♀魔王「ぎゃふん!」


終わり

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